化粧品も脱プラスチックの時代です

私たちの生活に知らず知らずのうちに入り込んで、増え続けるプラスチック。その「便利さ」の陰で今、様々な問題が起こっています。マイクロプラスチックによる海洋汚染、生態系への影響、人体への影響などなど。SDGｓへの取り組みが世界的な広がりを見せている中、私たち一人一人、できることから取り組んでいきませんか？

何故、プラスチックは問題なのでしょう？

今大きな問題になっているのは、マイクロプラスチック問題です。マイクロプラスチックとは5mm未満の微細になったプラスチック粒子をいいます。プラスチックは紫外線によって結合が切れて劣化していき、やがて粉々になりマイクロ化していきます。そして廃棄物処理から漏れてしまったマイクロプラスチックは雨で流され、道路の排水口や河川を通じて海に流れ出ていってしまうのです。また家庭で使っているプラスチックのスポンジやまな板などは使っているうちに劣化して少しずつ削られ、マイクロプラスチックとなり下水へと流れていきます。そしてプラスチックは何年にもわたって分解しないまま残り続けるのです。

マイクロプラスチックは、海だけではなく、土壌にも、大気中にも拡散しているため、生態系への 影響が大変懸念されています。

プラスチックの添加剤も有害物質

マイクロプラスチックの問題が取り上げられる中で見落とされがちですが、プラスチックに使われている添加剤（紫外線吸収剤、可塑剤など）が生物に対して有毒であることも大きな問題です。

添加剤は、プラスチック製品が劣化するのを防ぐために加えられます。とくにプラスチックに添加剤として使われている紫外線吸収剤の一種の「UV328」という物質が、生物や環境に悪影響を与えるという報告が出ています。この物質についてスイスでは、すでに多くの生物体内から検出されるなど汚染が広がっているとして国際条約で使用を禁止するよう提案しています。

「UV328」はベンゾトリアゾール系と呼ばれる紫外線吸収剤ですが、動物実験で肝臓や腎臓への毒性があることが判明しています。環境中で分解されにくく、鳥や魚などの体内に蓄積しやすいという特性を持っています。この物質は、すでに日本国内の製品だけではなく、生物の体内や河川の底、食品などからも検出されています。

そのほかプラスチックに柔軟性を持たせる可塑剤としてよく使われているのが、フタル酸エステルです。これは環境ホルモンとしての疑いがあります。

プラスチックに使われる添加剤としては、紫外線吸収剤や可塑剤の他に、酸化防止剤や燃えにくくするための難燃剤、合成色素などもありますが、いずれも自然界にはない合成成分で、アレルギーやガンの原因になる不安があるものばかりです。

化粧品容器も脱プラスチック

確かにプラスチックは軽くて丈夫で便利で、どんな形にも成型でき、どんな色も付けられてまさに夢の素材でした。でも今、改めて私たちはモノ選びが問われています。見た目のきれいさ、便利さに囚われずに、生物としての私たちにとって安心かどうかという視点でモノ選びをしたいものです。

その視点は、人間以外の生物、そして環境を守ることにもつながります。

現在、化粧品の容器の多くはプラスチックです。その利便性から仕方ないとの考えもありますが、できる限り自然の素材に移行していくことが望まれます。

また近年石油ではなく植物を使用したバイオマスボトルも登場しています。こういった自然界で循環できる素材の研究も期待したいところです。