化粧品も洗剤も環境汚染の原因に! ~私たちにできるSDGsへの貢献とは~

化粧品も洗剤も環境汚染の原因に!
~私たちにできるSDGsへの貢献とは~

毎日、何気なく使っている化粧品や洗剤。

肌や髪が艶やかにとか、シミやシワにとか、ハリのある素肌にとか、あるいは油汚れがスッキリ落ちるとか、カビが生えないとか、こすらなくても泡の力で汚れが落ちる、などなどいかにも簡単で便利、効き目のありそうな商品が世の中に満ちあふれています。

しかし、その便利さと引き換えに、これらの商品に含まれる化学物質、特に合成界面活性剤が生活排水として下水に垂れ流され、環境を著しく汚染していることになかなか気づけません。

SDGsへの取り組みが、世界中で話題となっています。

私たちも、環境汚染を考え、実践することで貢献ができます。

できる限り環境を汚染しない生活スタイルについて考えてみませんか?

PRTRで化学物質の排出量がわかります

PRTR とは、毎年、どんな化学物質が、どこから、どれだけ排出されているか知るためのしくみです。

以下は環境省のPRTRについての説明です。

さまざまな化学物質が環境中に排出されていることを何となく不安に思うことはあっても、自分の住む地域でどんな化学物質が、どこから、どれだけ排出されているか知っている人はほとんどいない のではないでしょうか? 「市役所に問い合わせてみれば分かるかもしれない」「インターネットで調べたら何か情報が得られ るだろう」とあちこち探してみても、期待したほどデータは集まらず、市民にとって化学物質の排出に関するまとまった情報を入手するのは容易ではないことに気づきます。 PRTR とは、毎年、どんな化学物質が、どこから、どれだけ排出されているか知るためのしくみ です。 Pollutant Release and Transfer Register の略称で、これまで市民がほとんど目にすることのなかった化学物質の排出に関する情報を国が1 年ごとにまとめて公表する制度です。日本だけでなく諸外国でも導入が進んでいます。

環境省 「PRTRとは何か」 から抜粋

環境汚染物質が家庭から垂れ流されています

PRTR は法律で定められた制度です。この法律を「PRTR 法」と言います。

化学物質の中でも、特に人の健康や生態系に有害なおそれがあるものがPRTR法の対象となる化学物質です。化粧品や洗剤に使われている合成界面活性剤の中にもPRTRに指定されている化学物質があります。

洗浄剤・化粧品等(界面活性剤)として使用されるPRTR対象化学物質

  • 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
    (別名:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
  • N,N-ジメチルドデシルアミン=N-オキシド
    (別名:ラウリルジメチルアミンN‐オキシド)
  • ドデシル硫酸ナトリウム
    (別名:ラウリル硫酸ナトリウム)
  • ヘキサデシルトリメチルアンモニウム=クロリド
    (別名:セチルトリメチルアンモニウムブロミド)
  • ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル
    (別名:ポリオキシエチレンドデシルエーテル)
  • ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテル
    (別名:ポリ(オキシエチレン)オクチルフェニルエーテル)
  • ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル
    (別名:ノニルフェノールエトキシレート)
  • ポリ(オキシエチレン)=ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム
    (別名:ラウレス硫酸ナトリウム)

上記のPRTR法に指定されている化粧品や洗剤に含まれる合成界面活性剤の年間排出量は、約3万4千トン。その9割弱の約3万トンが家庭からの生活排水です。(平成28年度調べ)

その多くが洗濯、風呂、台所から排出されるものですが、約5%、約1500トンは化粧品に含まれる化学物質です。

PRTR法は、現在企業を対象にして、届け出が義務づけられていますが、個人には適用されません。しかし現状は届け出をしていない一般消費者が排出する総量のほうが、はるかに大きくなっています。

家庭からの排水は、下水に流されます。

そう考えると怖くなってきます。

年々川が汚れていき、以前は澄んでいた川面がだんだん暗い緑色になってしまうのです。

私たちの飲料水である水道水はほとんど川を水源としていることを考えると、問題が深刻です。

下水に流されても、「浄化槽で下水処理されてきれいな水になるから大丈夫」と思っている人が多いと思います。

しかし、全国でみると生活排水を処理している合併浄化槽はまだまだわずかです。

トイレの汚水だけを処理する浄化槽を単独浄化槽というのに対し、合併浄化槽は、水洗トイレからの汚水や台所・風呂などからの生活排水を微生物の働きなどを利用して浄化し、きれいな水にして放流する施設です。

平成13年4月1日から浄化槽法が改正され、法律上では、合併浄化槽のみが「浄化槽」として位置づけされ、トイレの汚水のみを処理する単独浄化槽は、原則として新たな設置ができなくなりました。

また、現在設置されている単独浄化槽を合併浄化槽に設置替えするよう整備をすすめています。

しかし全国の下水道普及率は平均で73%、合併浄化槽の整備率は、全国平均わずか9.2%。

単独浄化槽では、生活排水は未処理のまま放流されることとなります。

これらを考え合わせると、まだまだ大量の化学物質が処理されないまま、川や海に流れ出ていることがわかります。

自分のできるところからSDGsに貢献しましょう

今、企業や個人のSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが盛んになっています。

化粧品や洗剤の合成成分が混じった生活排水は川の汚染にとどまらず、近年は海の汚染へと広がっており、漁獲量が減ってきている一因と言われています。

SDGsでも14番目の目標として「海の豊かさを守ろう」という目標があげられています。

できる限り「合成界面活性剤を使わない」「下水に流さない」この行為で、 SDGsの目標「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」この2つの目標に貢献できます。

有害な生活排水を流さないためにも、合成成分フリーの化粧品を使うこと、そして合成界面活性剤ではなく石けん洗剤を使うように心がけましょう。

環境を守るために合成成分を使わないように配慮することは、もちろん自分自身や家族の健康を守ることになります。

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