気をつけて！！ 「植物エキス配合だからナチュラル、安心」 は、大きな間違いです！

植物エキスだからナチュラルとは限らない

ナチュラル化粧品が大流行の今、化粧品の広告でよく目にするのが「植物エキス配合」という言葉。

大手メーカーの化粧品でも、全成分を見るとカタカナの難しい成分に混じって、植物エキスの名前がずらりと並んでいるものを多く見かけるようになりました。

では植物エキスは、どのように作るのでしょう？

植物エキスは何らかの溶剤に植物を漬け込み、植物に含まれるさまざまな有用成分をその溶剤に溶け込ませます。

昔は、手作りコスメの植物エキスは、植物をお湯で煎じたり、お酒や油、酢などを溶剤にして漬け込み、それを化粧水や美容オイルなどとして使っていました。

そのように、自然な液体で植物エキスを作るのはとくに問題はありません。

しかし現代の化粧品に使われる植物エキスは、ほとんどが化粧品原料会社が製造したものになります。

大手の原料会社の植物エキスの溶剤を見てみると、よく使われているのがBG（1,3-ブチレングリコール）です。もともとBGは、石油原料から作られた合成成分ですが、殺菌力もあるので、これを使って植物を抽出すると、腐らない植物エキスが出来るというわけです。植物エキスを販売する原料会社にとってその植物エキスを腐らないものにすることが最重要課題なので、BGはとても都合のいい溶剤なのです。

植物由来でも合成成分を作ることが可能です

さらに最近は、石油で作ったBGよりも、植物から作ったBGであれば、消費者の安心感を得られやすいため、トウモロコシから作ったBGがよく使われるようになりました。

一般的なイメージと異なり、植物からも石油からと同じような自然界にない合成成分を作ることが出来ます。

どのようにするのかというと、植物原料に製造工場の設備を使って高温高圧をかけ、植物本来の構成成分をバラバラにし、その後自由につなぎ合わせて合成成分を作るのです。

そのような方法を使えば、従来、石油で作っていた合成成分を植物からも作ることが可能になります。

しかし、石油から作ろうと植物から作ろうと、出来上がったBGの性質は変わりません。

合成成分でありながらBGは、今のところ、とくに肌に対して問題はないとされています。しかしBGの殺菌力は、ヒトの肌に潤いを提供している常在菌をも殺傷してしまうことになり、そのため肌は乾燥に傾きやすくなります。肌が乾燥すると、おのずとくすみやシワも発生しやすくなります。

そもそも植物エキスといっても、植物の成分を溶かす溶剤が合成成分であれば、当然ながらナチュラルとは言い難いものになってしまいます。つまり消費者のイメージに反して「植物エキス＝ナチュラル」ではないのです。

全成分に出てこないキャリーオーバー成分

さらに問題なのは、化粧品の全成分表示の際に、植物エキスの溶剤はごく少量であるため、キャリーオーバー成分として、とくに記載しなくてもいいことです。ですから植物エキス抽出溶剤としてBGが使われていても、全成分中にBGを記載する必要はありません。

そのため、消費者の目から、全成分にある植物エキスはどのような溶剤で抽出されたのかを隠してしまうこともできるわけです。

本当にナチュラルな植物エキスとは

では、どのような植物エキスであれば、ナチュラルと言えるのでしょうか？

当然ながら溶剤が、水、穀物エタノール、植物オイルなどナチュラルなものであることが条件になります。

現在、良心的なオーガニックコスメメーカーが、よく使っている植物エキスの抽出溶剤は、穀物アルコールです。穀物アルコールは、化粧品の全成分表示では、エタノールと表記されます。ただしエタノールは、石油からも作ることができますが、オーガニックコスメメーカーであれば、穀物アルコールを使います。

さらに溶剤の安心安全にこだわっている良心的なメーカーであれば、穀物エタノールの原料も有機栽培のものを使います。

合成成分フリーだから、植物の力は発揮される

本来、植物には、多種多様な成分が含まれています。

ひとつの植物に含まれる成分は、４０００種類とも５０００種類とも言われ、現代の化学でも未知の成分が数多くあります。

そのように複合的な成分を持っているからこそ、1つの美容植物が、保湿したり、肌を整える、くすみを改善したりと様々な働きが出来るのです。

古くから世界中で使われてきた美容植物は、知れば知るほど、本当に素晴らしい働きを持っています。それらは長い歴史の中で、日常生活を通じていわば人体実験をし、本当に効果があり、安心安全なものだけが伝えられ、残ってきたのです。まさに貴重な人類の文化遺産ともいうべきものです。

ただしそのように素晴らしい植物も、BＧやパラベンなどの合成成分が入り混じったものでは、本来の力を発揮することが出来ません。植物の力を実感するためにも、植物エキスはぜひナチュラルな溶剤で抽出されたものを選んでください。