化粧品と環境ホルモン
パラベンが環境ホルモンになる?!
化粧品は、口に直接、入れるものではないので、食べ物ほど気をつけなくても大丈夫と思っていませんか?
しかしそのような考えは、健康にとってとても危険な思い込みです。
アメリカの有害物質専門家のイボンヌ・バーカード博士は、化粧品に含まれる化学物質が、ニセのホルモン(=環境ホルモン)となって働くことを警告しています。
例えば化粧品で使われるもっとも一般的な合成防腐剤パラベンは、肌を通して体内に入り、脳、胸、性器などにある女性ホルモンを受け入れる受容体に達すると、ホルモンと同じ働きを発揮して、細胞の増殖を行う指令を下すというのです。
通常、ホルモンは必要なときに必要な量だけ、私たちの体内で作られます。
しかし化粧品に含まれる化学物質は、外からやってきてニセ・ホルモンとなって身体に悪影響を及ぼしているのです。
ほんの少しの量で作用するホルモン
ホルモンは、ほんの少しの量で働きを開始することができます。
一般に化粧品に使われているパラベンは、量がわずかなので問題がないと言われてきました。環境ホルモンという視点から見ると、決して少ないから大丈夫とは言えないことがわかってきます。
ほぼ毎日、多くの女性は化粧品を使っているわけですから、いわばニセのホルモンを肌から大量に吸収し、身体に悪影響を与えていると、イボンヌ博士は言います。
イボンヌ博士は、パラベンだけではなく、合成ポリマーや合成界面活性剤もまた環境ホルモンになりうる化粧品成分であることを明らかにしています。
イボンヌ博士の警告は、化粧品を使う女性のほうが男性よりも乳がんや化学物質過敏症になることが多いという現状にも表れています。
化学物質フリーの化粧品で乳がん発病率のレベルが下がった!
イボンヌ博士は、化粧品と環境ホルモンの関係について、ある興味深い実験をしています。
41人の乳がんにかかった女性を対象に、28日間、まったく化学物質を含まない化粧品を使ってもらったのです。そうするとほとんどの被験者のガンのレベルが下がったという結果が出たのです。
このことから化学物質を含む化粧品は、肌荒れの原因になっているだけではなく、より深刻な影響を体に及ぼしていることが明らかになりました。
イボンヌ博士は、昨今、若年層のガンが増えていることを指摘し、その理由として若い女性が早い年齢から化粧品を使うようになっていることをあげています。
「アメリカでは、12歳以下の子供たちまで、メイクをするようになってきています。ガンといえば、これまで60代以上の病気でしたが、20代や30代でもガンになる人が増えています。体内で蓄積される化学物質がある量を超えると、それが病気となって表れるのです」。
しかしこれはアメリカだけのことではなく、日本でも同様です。小学生向けにメイクの雑誌が販売されたりしています。
わからない成分が入った化粧品は使わない
イボンヌ博士によれば、深刻な病気にかかりやすくなるリスクを回避するために、まず心がけたいことは、
「とにかく化学物質が入っていそうな化粧品は避けてください。よくわからないものは使わないことです」。
化学物質フリーの化粧品を選ぶことは、美容のためだけではありません。それは自らの体の健康を守ることにとって重要なことなのです。
化学物質フリーの化粧品はどこで手に入るの?
「日本オーガニックコスメ協会」は、完全・化学物質フリーのオーガニックコスメを普及する活動をしています。消費者が見分けられるように、天然成分だけで作られた化粧品であることを保証するJOCAマークを発行するとともに、メーカーに化学物質を使わない化粧品製造法についてアドバイスをしています。
また化粧品成分がわかる消費者を増やすための「JOCAオーガニックコスメ・アドバイザー」講座を開催しています。
通販サイト「オーガニック生活便」では、「日本オーガニックコスメ協会」の審査をクリアしたJOCAマーク取得化粧品を数多く取り扱っています。
紙コップもまた環境ホルモンに!
イボンヌ博士は、エコというイメージがある紙コップにも注意を促しています。
「紙コップは、水が染み出さないように、マイクロプラスチックでコーティングされています。
そのため熱いコーヒーなどの飲み物が紙コップに注がれると、15分以内に、約2万5000個以上のマイクロプラスチックが溶け出します。これを飲むとそのまま体内に入り、マイクロプラスチックが血流にのってあちこちに蓄積されることになります。マイクロプラスチックもまた環境ホルモンになりうる可能性があります」。
というわけで、カフェで飲み物を注文するときは、紙コップではなく、マグカップにしましょう。あるいは、ステンレスなどのマイカップに入れてもらいましょう。
化学物質を排出するグルタチオンを作る野菜
体内に化学物質を一切取り入れたくない! と思っても、今やそれは不可能と言っていいでしょう。なにしろ今の時代は、いたるところに石油から作られた化学物質があふれているのですから。農薬、食品添加物、化粧品、建築資材、塗料、プラスチック製品、合成繊維の衣服などなど。
しかしイボンヌ博士は、そんな時代であっても、化学物質を体内から減らすことによって健康を守る方法を提案しています。
「私たちの体内で、化学物質を排出する働きをしている臓器と言えば、腎臓と肝臓です。
腎臓と肝臓には、グルタチオンというたんぱく質があり、これが有害な物質を排出するときに働きます。グルタチオンは、ある種の野菜によって増やすことができます。それは、玉ねぎ、にんにくなどのネギ類、またブロッコリーやカリフラワー、キャベツなどのアブラナ科の野菜もグルタチオンの生成に役立ちます」。
イボンヌ博士は、化学物質を完全に避けることが不可能な時代にあって、まずはどこに化学物質があるのかを知ってそれらを避け、また食べ物によって、体内の化学物質を減らすことはできると提唱しています。
つまり化学物質を低減することによって、健康を守ることはできるのです。その方法を知っている人と知らない人では、当然ながら大きな差が出てくるのです。