
化粧品と環境ホルモン
化粧品の合成成分が環境ホルモンになる

ホルモンとは、体調を整えたり、からだの恒常性(ホメオスタシス)を維持するための物質です。本来ホルモンは、人間の体の中で作られるものですが、近年、人工的に作りだされた化学物質が人体に入ると、ホルモンに似た働きをすることがわかってきました。そのような化学物質は「環境ホルモン」と呼ばれていますが、別名「内分泌かく乱物質」と呼ばれているように様々な疾患を引き起こします。
「環境ホルモン」になりうる化学物質は、環境中だけではなく家の中にもあふれています。
この環境ホルモンの代表例がダイオキシン、PCB、DDTなどですが、最近は、化粧品に含まれる防腐剤のパラベン、合成界面活性剤、合成ポリマーなども環境ホルモンになりうることが指摘されています。
環境ホルモンという言葉が知られるようになったのは、米国のシーア・コルボーン博士の著書「奪われし未来」でした。
博士は、野生動物の生殖器官に異常が起きていることに着目し、その影響は人間にも及ぶだろうと警告しました。
- ●フロリダにある湖におけるワニの生殖器の萎縮、アカミミガメの間性
(オスでもメスでもない) - ●絶滅に近いフロリダヒョウのオスのメス化
- ●ミシガン湖におけるミンクの減少と生殖異常
- ●北ヨーロッパにおけるアザラシの大量死
- ●地中海におけるイルカの大量死
- ●北極圏に生息するホッキョクグマと
南極大陸に住むペンギンの体内からのPCB検出
微量で毒性を発揮する環境ホルモン

ホルモンが超微量で働きを発揮するように、環境ホルモンもまた超微量で毒性を発揮します。環境ホルモン分子は、例えば、原子が300個ぐらいのごく小さなものなので、プールにたった一滴を落としたとしても、1CC中に約20億個の環境ホルモン分子が溶けていることに。つまりきれいに見えるプールの水に環境ホルモンが一滴入るだけで、「毒の水」になるのです。
近年は、婦人病(子宮内膜症、子宮頸がん、子宮筋腫、乳がんなど)の疾患が若年層の女性の間でも急増しています。その原因のひとつとして、女性が早くから化粧品を使うことがありそうです。
ちなみに「化学物質過敏症」の人の割合は、女性が7割、男性が3割です。
肌に塗った化粧品の合成成分は、「経皮毒」となって直接に毛細血管に入り、血流にのって各臓器に運ばれてしまいます。たとえほんのわずかな量であっても、環境ホルモンとして作用し、様々な疾患を引き起こしている可能性があります。とくに女性の場合、脂肪層が厚い子宮周りや胸部に、合成成分(化学物質)が蓄積してしまいます。それは合成成分が、人の脂肪層と似た構造をしているからです。
女性ホルモンについて

ホルモンには、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンなどさまざまな種類があります。
そのうちの女性ホルモンは、女性が一生のうちに分泌するのは、たったティースプーン1杯(5ml)程度といわれています。
たとえば合成防腐剤のパラベンは、100mlの化粧水に約1ml含まれています。ということは、5本の化粧水を使っただけで5mlのパラベンが素肌から入ることになるわけですが、それだけで女性が一生のうちに分泌する量に相当するホルモンの量になってしまいます。
ホルモン生成、生命現象の司令塔、視床下部

本来は、人間の体内で作られるというホルモンは、どこで作られるのでしょうか?
それは脳のほぼ中心にある視床下部です。
視床下部はほんの4gほどの臓器ですが、内分泌系の司令塔として、内臓の働きや内分泌の働きを支配するほか、体温調整、食欲調整、体内の水分量の調整のほか、ストレスに対しても調整しています。つまり視床下部は、生命現象を司る自律神経系のセンターなのです。
自然なホルモンの流れ

視床下部は、下垂体に指令を出して、ホルモンの分泌を促します。下垂体で作られたホルモンは、各内分泌腺に作用して、それぞれのホルモンを分泌させます。
つまり
自然なホルモンの経路は、 「視床下部の指令 ⇒ 下垂体 ⇒ 各臓器」
という流れになりますが、化学物質が環境ホルモンとして作用するときは、次のような流れになってしまいます。
「肌 ⇒ 毛細血管 ⇒ 各臓器」
自然なホルモンと同じく、環境ホルモンは、各臓器の細胞に入ると、細胞に様々な指令を出します。その結果、過剰なホルモンの指令によって、アレルギーやガン、生殖異常ななどの疾患が引き起こされるのです。
パラベンだけではなく、無添加化粧品や自然化粧品よく使われている合成防腐剤フェノキシエタノールも、その構造上から環境ホルモンになりうる可能性が高い化学物質です。
つい化粧品は、食べ物よりも安心安全性にこだわらなくてもいいと考えられがちですがそれは怖いことです。化粧品の化学成分によって、ある日、思いがけない深刻な病気にかかる可能性もないとは言えません。ぜひ天然成分100%の化粧品にこだわって、素肌とからだを守ってくださいね。
「オーガニック生活便」では、JOCA基準に従って、天然成分100%の化粧品だけを取り扱っています。