自然の力を利用して涼をとる
水や植物などの自然の力を利用すれば節電にもなります
今では、暑くなってくるとオフィスや交通機関などの
パブリックな場所も、家庭も冷房が当たり前になりました。
確かに冷房は私たちの生活を楽にしてくれましたが、
人が本来備えている体温調節機能を崩しやすくし、
頭痛や疲労感、自律神経失調症などの症状をもたらすひとつの原因になるということを、
どのくらいの人々が自覚しているのでしょうか?
汗をかくことには意味があり、
体調を整えるため大切なからだの機能のひとつ。
古くから伝わる涼み道具や、自然を取り入れて、
出来るだけ冷房にたよらないよう風情のある季節にしましょう。
地球温暖化を促す家電製品の使用をなるべく控えることで、
からだのサイクルに即したライフスタイルの見直しにもなります。
文・山口文子 イラスト・早坂陽子
体温調節機能を崩す一因になる冷房の使用
風もなくとても暑く寝苦しい夜になると、冷房をつけてしまう人も多いでしょう。
じつは、この夜の冷房の使用が、地表をさらに熱くしているのです。本来なら気温の下がる夜に地表は昼に受けた太陽の熱さを冷やすため、翌日は自然のサイクルに則した暑さにまでしかなりません。
ですが、冷房の出す温度が、夜の間に気温が下がるのを防ぎ、
気温が下がらないまま朝を迎え太陽が沈むまで地表が温まるので、日中も夜も一層暑くなるのです。
夜だけではなく日中の冷房の使用も、この悪循環を促し、温暖化を進めています。私たちの生活の見直しと改善が必要とされているのです。
汗をかくことでからだのバランス機能を整える
暑くなるとからだがだるくなったりやる気がなくなったりしますが、
それは、体温や体液の調整機能の障害や、水分が不足することが原因で、自律神経や内分泌系の失調を起こした症状なのです。
その症状として、食欲不振や不眠症、倦怠感が現れます。
暑さに絶えられず冷房に頼ったり、食欲がないためにビールや清涼飲料ばかり飲むと、身体機能のアンバランスや栄養不足につながるばかりでなく、消化不良、体力減退、不眠、体調や生活リズムの崩れ、という悪循環に陥るケースが多いのです。
その悪循環を止めるのが、「汗をかく」という単純なこと。
汗をかかないことがエチケットのように思っている人もいますが、じつはからだにとって大切な働きをしています。
暑いときや、からだに熱がこもっているときに、熱を逃し、体温の上昇を防ぎ一定に保つように体温調節を行うという、脳の温度調整にも直接つながる重要な働きを担っているのです。
この発汗機能が低下すると、体温調節が狂い、自律神経や内分泌系の失調を起こします。ときにはからだに熱がこもり熱中症になったり、血栓ができやすくなり脳梗塞になり、それが突然死を招くということもあります。
からだのアンバランスと地球温暖化を促す家電製品を見直す
家電製品なしでは日常生活が送れないほど、いつしか家電製品と人とは密着していますが、最近、 オゾン層保護を考慮した冷蔵庫、 冷房、車の開発が実現し、節電やフロン類の回収が行なわれるなど、環境に配慮した動きが企業にも家庭にも見られるように私たちの意識も変わってきています。
電気消費量が高くなる夏こそ、冷房ではなく扇風機を使用するなど、家電製品の使用をなるべく控え、環境だけでなく、私たちのからだにも自然なサイクルを思い出させたいものです。
屋外
【打ち水】
暑さを和らげ、お清めにもなる
私たちが涼をとる術として、まず「打ち水」が挙げられます。
店先、玄関先、庭や道路に撒く水は、蒸発するときに地面の熱を吸収して周りの温度を上げる前に気化熱を奪うため、気温が下がります。
この打ち水は、暑さを和らげるためだけでなく、客人を迎える際のお清めや、埃を静めるために行われていたそうです。
【扇子】
コンパクトな外出時の必需品
木(もっかん)簡(もっかん)(長さ30cmくらいの木片)を何枚も閉じ合わせた平安時代の扇「桧(ひ)扇(おうぎ)」が扇子の始まりです。
貴族や僧侶、神職に就いている人しか使用できませんでしたが、鎌倉時代に中国に渡り、室町時代に唐扇として逆輸入され、この頃から庶民にも使われるようになりました。
折り畳めるため、外出時の携帯にも適しています。麻、綿、紙など多くの天然素材が使用され、絵柄も美しい香りつきの扇子もあります。
【日傘】
夏の日射しを優雅に遮る
夏の日射しには紫外線が多く含まれ、肌に良くない影響を与えます。
露出した肌を日射しから守るため、外出時には日傘を愛用したいものです。
白色よりもベージュや濃い色の方が紫外線を遮断すると言われています。
いろいろな素材、色、柄がありますが、麻や綿などの天然素材がおすすめです。
室内
【すだれ】
植物の力で日射しと熱気を遮る
「すだれ」や「よしず」を窓の外側に掲げ日射しを遮り、室内に熱気をこもらせないようにするという方法があります。
室内のカーテンよりも外からの熱と日射しの遮断性に優れています。
乾燥した竹など、丈夫な素材で作られているので、風雨にも強く、速乾性があります。
【桃湯】
肌荒れにおすすめ、桃の葉のお風呂
江戸時代の行事のひとつとして、土用の日には桃湯に入る習慣がありました。
桃湯には肌荒れや湿疹、あせも、虫刺されなどの皮膚のトラブルで起こった炎症を抑える効果があります。
生の桃の葉30~40枚を鍋で煮出し、煮汁ごと浴槽に入れます。乾燥した葉でも大丈夫です。
その他
【ハーブティ】
食欲不振や自律神経の強化に
西洋の漢方薬のひとつ、ハーブティーでリラックスできます。
食欲不振にはペパーミントやレモングラス、消化不良や倦怠感にはローズマリー、自律神経の強化にラベンダー、からだの冷えにはカモミールやラベンダー、不眠症にはレモン、などがおすすめです。
清涼飲料などの代わりにアイスハーブティーやホットハーブティーを飲むと心身が穏やかになります。
【オーガニックリネン】
天然素材のリネンやシルクで快適な睡眠を
オーガニックリネンのベッドファニシングは暑い夜の寝苦しさを緩和してくれます。
シーツ、布団カバー、ピローケース、タオルケットなどが揃います。
リネンは吸水と発散性に優れ、耐久性もコットンの2倍と言われています。
使い込むほど柔らかく風合いが良くなり、10年から20年はもちろん半永久的に使えます。
また、シルクも吸汗性に富み、肌にもやさしくベッドファニシングの使用におすすめです。
パブリックな場所も、家庭も冷房が当たり前になりました。
確かに冷房は私たちの生活を楽にしてくれましたが、
人が本来備えている体温調節機能を崩しやすくし、
頭痛や疲労感、自律神経失調症などの症状をもたらすひとつの原因になるということを、
どのくらいの人々が自覚しているのでしょうか?
汗をかくことには意味があり、
体調を整えるため大切なからだの機能のひとつ。
古くから伝わる涼み道具や、自然を取り入れて、
出来るだけ冷房にたよらないよう風情のある季節にしましょう。
地球温暖化を促す家電製品の使用をなるべく控えることで、
からだのサイクルに即したライフスタイルの見直しにもなります。
文・山口文子 イラスト・早坂陽子
体温調節機能を崩す一因になる冷房の使用
風もなくとても暑く寝苦しい夜になると、冷房をつけてしまう人も多いでしょう。じつは、この夜の冷房の使用が、地表をさらに熱くしているのです。本来なら気温の下がる夜に地表は昼に受けた太陽の熱さを冷やすため、翌日は自然のサイクルに則した暑さにまでしかなりません。
ですが、冷房の出す温度が、夜の間に気温が下がるのを防ぎ、 気温が下がらないまま朝を迎え太陽が沈むまで地表が温まるので、日中も夜も一層暑くなるのです。
夜だけではなく日中の冷房の使用も、この悪循環を促し、温暖化を進めています。私たちの生活の見直しと改善が必要とされているのです。
汗をかくことでからだのバランス機能を整える
暑くなるとからだがだるくなったりやる気がなくなったりしますが、
それは、体温や体液の調整機能の障害や、水分が不足することが原因で、自律神経や内分泌系の失調を起こした症状なのです。
その症状として、食欲不振や不眠症、倦怠感が現れます。
暑さに絶えられず冷房に頼ったり、食欲がないためにビールや清涼飲料ばかり飲むと、身体機能のアンバランスや栄養不足につながるばかりでなく、消化不良、体力減退、不眠、体調や生活リズムの崩れ、という悪循環に陥るケースが多いのです。
その悪循環を止めるのが、「汗をかく」という単純なこと。
汗をかかないことがエチケットのように思っている人もいますが、じつはからだにとって大切な働きをしています。
暑いときや、からだに熱がこもっているときに、熱を逃し、体温の上昇を防ぎ一定に保つように体温調節を行うという、脳の温度調整にも直接つながる重要な働きを担っているのです。
この発汗機能が低下すると、体温調節が狂い、自律神経や内分泌系の失調を起こします。ときにはからだに熱がこもり熱中症になったり、血栓ができやすくなり脳梗塞になり、それが突然死を招くということもあります。
からだのアンバランスと地球温暖化を促す家電製品を見直す
家電製品なしでは日常生活が送れないほど、いつしか家電製品と人とは密着していますが、最近、 オゾン層保護を考慮した冷蔵庫、 冷房、車の開発が実現し、節電やフロン類の回収が行なわれるなど、環境に配慮した動きが企業にも家庭にも見られるように私たちの意識も変わってきています。
電気消費量が高くなる夏こそ、冷房ではなく扇風機を使用するなど、家電製品の使用をなるべく控え、環境だけでなく、私たちのからだにも自然なサイクルを思い出させたいものです。
【打ち水】
暑さを和らげ、お清めにもなる
私たちが涼をとる術として、まず「打ち水」が挙げられます。
店先、玄関先、庭や道路に撒く水は、蒸発するときに地面の熱を吸収して周りの温度を上げる前に気化熱を奪うため、気温が下がります。
この打ち水は、暑さを和らげるためだけでなく、客人を迎える際のお清めや、埃を静めるために行われていたそうです。
【扇子】
コンパクトな外出時の必需品
木(もっかん)簡(もっかん)(長さ30cmくらいの木片)を何枚も閉じ合わせた平安時代の扇「桧(ひ)扇(おうぎ)」が扇子の始まりです。
貴族や僧侶、神職に就いている人しか使用できませんでしたが、鎌倉時代に中国に渡り、室町時代に唐扇として逆輸入され、この頃から庶民にも使われるようになりました。
折り畳めるため、外出時の携帯にも適しています。麻、綿、紙など多くの天然素材が使用され、絵柄も美しい香りつきの扇子もあります。
【日傘】
夏の日射しを優雅に遮る
夏の日射しには紫外線が多く含まれ、肌に良くない影響を与えます。
露出した肌を日射しから守るため、外出時には日傘を愛用したいものです。
白色よりもベージュや濃い色の方が紫外線を遮断すると言われています。
いろいろな素材、色、柄がありますが、麻や綿などの天然素材がおすすめです。
【すだれ】
植物の力で日射しと熱気を遮る
「すだれ」や「よしず」を窓の外側に掲げ日射しを遮り、室内に熱気をこもらせないようにするという方法があります。
室内のカーテンよりも外からの熱と日射しの遮断性に優れています。
乾燥した竹など、丈夫な素材で作られているので、風雨にも強く、速乾性があります。
【桃湯】
肌荒れにおすすめ、桃の葉のお風呂
江戸時代の行事のひとつとして、土用の日には桃湯に入る習慣がありました。
桃湯には肌荒れや湿疹、あせも、虫刺されなどの皮膚のトラブルで起こった炎症を抑える効果があります。
生の桃の葉30~40枚を鍋で煮出し、煮汁ごと浴槽に入れます。乾燥した葉でも大丈夫です。
【ハーブティ】
食欲不振や自律神経の強化に
西洋の漢方薬のひとつ、ハーブティーでリラックスできます。
食欲不振にはペパーミントやレモングラス、消化不良や倦怠感にはローズマリー、自律神経の強化にラベンダー、からだの冷えにはカモミールやラベンダー、不眠症にはレモン、などがおすすめです。
清涼飲料などの代わりにアイスハーブティーやホットハーブティーを飲むと心身が穏やかになります。
【オーガニックリネン】
天然素材のリネンやシルクで快適な睡眠を
オーガニックリネンのベッドファニシングは暑い夜の寝苦しさを緩和してくれます。
シーツ、布団カバー、ピローケース、タオルケットなどが揃います。
リネンは吸水と発散性に優れ、耐久性もコットンの2倍と言われています。
使い込むほど柔らかく風合いが良くなり、10年から20年はもちろん半永久的に使えます。
また、シルクも吸汗性に富み、肌にもやさしくベッドファニシングの使用におすすめです。