save the sea !
◆◆プラスチック依存ライフからオーガニックライフへの転換を◆◆
海の生物の食べ物は、プラスチックゴミ
タイに打ち上げられたクジラの胃から出てきたものは、なんと8kgのプラスチックゴミ!!
そんなショッキングなニュースが話題になっています。
でもそうしたことは今に始まったことではなく、すでに数年前からヨーロッパやアフリカで打ち上げられたクジラの胃から、プラスチック製品や容器、車の部品でいっぱいだったという報告が続いていました。
もちろんプラスチックを食べて死んでいる生物はクジラだけではありません。
ほかに魚、鳥、アザラシや亀など、800種類もの海洋動物がプラスチックゴミを食べて命を落としており、その数は毎年100,000匹以上と言われています。
その他、海に投棄されたプラスチックの網や釣り糸などに野生動物が絡まって死にいたる悲劇が続いています。
ついに「プラスチック憲章」登場
そのように海の生物を死に追いやっているのが、世界中の海に漂うプラスチックゴミ。
買い物袋、ペットボトル、容器、電気製品、建材、家具など、いずれも現代人が日常的に使っているプラスチック製品です。それらが、海の中でこなごなの粉となって漂っているのです。
プラスチックゴミの中には、化粧品に使われているマイクロプラスチックもあります。
マイクロプラスチックはもともと5ミリ以下に加工してあるパウダー状のもので、洗顔フォームや歯磨きのスクラブ剤として、そしてメイク用品のなめらかさや艶を出す成分としても大量に使われてきたものです。
化粧品の全成分では、「ポリエチレン、ポリエチレン末、ポリマー」といった記載の成分に該当します。
これらは一度流れ出ると、再利用は不可能で、川から海へと運ばれて、海に蓄積していきます
プラスチックゴミへの各国の取り組みは、2015年、ドイツがG7で初めて議題にあげ、2016年日本、2017年にイタリアのG7で議論が重ねられてきました。
そして今年の6月に、カナダで、G7が開催された際、トルドー首相が準備していた「プラスチック憲章」(Plastic Charter)」を提唱しました。
その内容は、2030年までにプラスチックをリサイクルしようと参加国に促すものです。
このプラスチック憲章の主旨に賛同して、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリスの5か国が署名しましたが、日本とアメリカ合衆国だけが署名を見送りました。
米国はトランプ政権になってから環境問題についてはきわめて消極的な姿勢になっており、昨年の温暖化問題会議である「パリ協定」離脱は世界中を揺るがし、「経済優先」主義について国内外から非難を浴びています。
そしていっぽう日本政府がプラスチック憲章に署名しなかったことも衝撃的です。というのは、環境省によると、日本近海では、プラスチックゴミの量が1平方キロ当たり172万粒で、世界平均の27倍~30倍とも言われているからです。そんな国が何故?!
プラスチックゴミを無くすために各国の取り組みが始まっている
各国では、プラスチックゴミに対して、さまざまな取り組みが始めており、60か国以上がビニール袋の廃止や課金、プラスチックストロー使用廃止などを実地しています。
欧州連合(EU)は、2030年までにすべてのプラスチック包装をリサイクル、または再利用できるものにすると発表しました。また、ストローや食器類などのプラスチック製品を制限する規制案を発表。ペットボトルについては、2025年までに90%回収を目標としています。
さらにプラスチック生産者はプラスチックの回収や清掃についてのコストを負担する責任を負うことを求めています。
イギリスでは、スーパーマーケットなどで使用するビニール袋はすでに課金されるようになっています。そして2042年までにプラスチック廃棄物を可能な限りなくす長期環境計画を提出し、使い捨てのプラスチックストローや綿棒などのプラスチック製品の使用を禁止することを決めました。
ヨーロッパだけでなく、ケニヤやルワンダなどアフリカの25か国がビニール袋を禁止しています。
自然界で分解されないため、プラスチックゴミは増え続ける
国連の調査では、世界で生産されているプラスチックは、なんと年間4億トン。その大半は使い捨てのパッケージ用品や容器で、世界全体でプラスチックの79%がリサイクルされないまま廃棄されています。
国連環境計画(UNEP)によると、プラスチックごみの廃棄量は年々増え続けて2015年には3億トンに及んだと発表しています。この調査では2014年の人口1人当たりの使い捨てプラスチック製品の廃棄量のトップ3は、米国、日本、欧州連合(EU)としています。
この結果、年間8000万トンものプラスチックゴミが海に投棄されており、それが今や、広範囲にわたって海面を覆いつくしているのです。世界中の海には1キロ平方あたり13,000ものプラスチックごみがあると推定されています。
そのような状況と真摯に向き合うと、プラスチックの再利用という方法では、とうてい問題解決にはいたらないのではと考えざるを得ません。
たとえ再利用しても、プラスチックそのものが劣化して、もはやリサイクルできるものではなくなれば廃棄するしかなく、結果としてプラスチックゴミが増えるいっぽうになるからです。
そもそもプラスチック製品は、石油が原料となっている化学物質であり、自然界で分解するまでにとても長い年月を要します。
プラスチックが自然に分解するのには数10年から100年単位の時間がかかると言われています。
ということは、プラスチックを生産し続ける限り、何十年も消えないゴミが、日に日に、そして年々、増えていくばかりという結果となるのは避けられません。
燃やせば、温暖化をさらに招くプラスチック製品
それならばプラスチックゴミを焼却してしまえばいいのではという考えが当然ながら出てきます。
プラスチックは以前、焼却によって猛毒のダイオキシンが出るため、埋め立てゴミになっていました。しかし少し前から、超高温焼却によってダイオキシンが出ない焼却炉が登場してきました。それでプラスチックゴミ問題は解決かと思いきや、次の問題が残っています。
プラスチックゴミをどんどん償却すれば、たとえダイオキシンが出なくても、二酸化炭素が着実に増えるからです。二酸化炭素は、「パリ協定」の議題になっている地球温暖化現象の原因です。地球温暖化が進めば、人が死ぬほどの猛暑や異常気象をさらに深刻なものにしてしまいます。
再利用ではなく、もの作りから見直すべき
「プラスチック憲章」ではプラスチックの再利用がうたわれ、各国や民間団体も再利用を提唱していますが、しかしそれでは根本的な問題解決にはなりません。
そんな現実を受け止め、さらに徹底したプラスチックゴミ対策を始めたところもあります。
南米のコスタリカでは2021年までにリサイクル不可能なプラスチック製品を全面的に禁止すると発表しました。
もうひとつの断固した対策をとった国は、モロッコ。もともとアメリカに次いで、世界で2番目にプラスチックバッグの消費が多かった国でした。そのモロッコが導入した禁止法は、プラスチック製品を輸入したり、売ったりすることを禁止し、プラスチック袋の配布も禁止するという徹底ぶりです。
さらにもっと厳しい対策を実地したのは、インドのカルナータカ州政府。プラスチックの使用を完全に禁止にしました。その結果、問屋も、小売店も、貿易業者も、プラスチック袋、プラスチック皿、カップ、スプーン、ラップといったプラスチック製品を使用したり、売ったりすることができなくなったのです。またマイクロビーズの使用も禁止にしています。
禁止措置が実施されてから4カ月で、州都のバンガロールでは3万9,000キロもの違法なプラスチックが押収されました。
民間企業でも自主的にプラスチック問題に取り組んでいるところがあります。たとえばスターバックスは、2020年までに、プラスチック製ストローを紙素材に変えることを発表しました。
今後は、再利用よりもプラスチックを使わないことが対策として求められていくことでしょう。
となると、私たちのいろいろな日用品は、プラスチックではなく、自然界でちゃんと循環できるものに変えていかなければならないということです。製品を作る段階で、自然界で循環できる素材を選ぶことが求められているのです。
今や再利用ではなく、もの作りから考えていかねばならない時点に来ています。
「便利だから」、「安い」からという視点からのもの作りではなく、人が使うものが他の動植物に迷惑をかけるものではないかどうかをしっかりと見極めることが求められています。
プラスチック依存生活からオーガニックライフへ
世界中の海にあふれているプラスチックゴミは、いつも私たちの生活の中でよく使われているものばかりです。それらをみると、まさに現代生活は、プラスチック依存生活です。
いったい何故、こんなことになってしまったのでしょうか?
1850年代にアメリカで始まった大量の石油利用が、地球の気温を変え、有毒な化学物質を蔓延させ、100年たっても自然界で分解できないプラスチック製品を登場させました。
人が便利だからと使ってきたものが、今や海の生物の健康を奪い、死に追いやっています。
深刻な海の汚染を間のあたりにするとき、現代のライフスタイルは今、大きな変革が求められていることが見えてきます。
45億年前から地球はこれまでさまざまな微生物や動植物を育み、進化させてきました。
しかしその最後に表れたヒトという生物種が、ここほんの150年あまりの間に、地球の自然法則を根底から覆し、多様な生物を退化へと向かわせるような状況を作り出しています。
その退化は、やがて人間にも及ぶことでしょう。
海の汚染は、結局、私たちの体内汚染へとつながっています。
自然界の汚染は、そのまま私たちの体内汚染の結果である病気や退化となってあらわれます。
その痛ましい現実から目をそむけることなく、責任を持って解決していくことがヒトという種に、今、求められています。
プラスチック問題は、遠い国で起きた環境問題ではありません。
その原因は、今日、私たちが住んでいる家から、そこでの暮らし方から始まっています。
今日、何を使うか、何をどのように作るか。
それは私たち自身の選択にかかっています。
未来の地球環境がどのような姿になるのかは、誰かではなく、私たちひとりひとりの意識とライフスタイルの変革にかかっているのはないでしょうか?
≪プラスチックゴミを減らすために私たちが出来ること≫
・ プラスチック製品ではなく、木、陶器、ガラス、粘土など自然素材の日用品を使う
・ 飲み物用のマイボトルを持つこと。
・ 買い物用にマイエコバッグを持ち歩くこと
・ プラスチック製のストローは使わない
・ 化学繊維の衣服ではなく、天然繊維の衣服を選ぶ
~コラム~
人にも環境にもやさしい天然繊維を使おう!
意外にも、私たちの衣類までがプラスチックゴミになっています。というのも、今や、衣類は、ポリエステルという化学繊維で作られたものがとても多くなっているからです。
ぜひコットンやシルクなどの天然繊維を見直しましょう。
ポリエステルなどの合成繊維のインナーを使っていると、肌が摩擦のストレスによって黒くなることがあります。
天然繊維は人の素肌になじみよく、ストレスをかけることなく守ってくれます。もちろん自然界で循環できる素材なので、ほかの動植物に迷惑をかけることはありません。
とくに農薬を使わないオーガニックコットンは、その栽培時から環境と共存できる農産物です。いっぽうシルクは、蚕を育てる桑は必ず無農薬で育てられています。
少しでも、環境に負担をかけないものを選んで使っていきたいですね。