ハーブ物語
キカラスウリのお話
「天花粉」として古くから愛用されていたキカラスウリ
「天花粉」をご存じですか?
「天花粉」とはキカラスウリの 根を粉砕して水に晒して作る白いサラサラした粉、昔のおしろいの原料です。おしろいとしてだけでなく、赤ちゃんのあせもやおむつかぶれにベビーパウダーとして愛用されてきました。
キカラスウリは、7月から9月の夕方うす暗くなるころ、レースのような模様のちょっと珍しい白い花を咲かせます。そして翌日午前中から午後まで開花し続けます。
かつて全国のどこにも自生しているありふれた植物でした。
しかし、農薬の普及とともに生態系が変化し、花粉を媒介するスズメ蛾がいなくなってしまったため、全国からほとんど姿を消してしまいました。
そこで数年前からそのキカラスウリを復活させようと、山形県のハーブ栽培者が取り組みを続けてきました結果、絶滅したと思われていたスズメ蛾が現れ、話題になりました。
デリケートな赤ちゃんの肌にもやさしい
昔からキカラスウリが採れていた北東北地域では、赤ちゃんや乳幼児の健やかな肌を保つため、お母さんが赤ちゃんのためにキカラスウリの実をすり潰してり込んであげていたようです。
果肉は黄色で非常に粘滑性に富み、赤ちゃんだけでなく、しもやけ、ひび、荒れ止めにも重宝されてきました。
完熟したキカラスウリの果肉エキスは化粧水や石けん、クリームなどに使われます。肌にやさしく保湿にすぐれているので敏感肌の人には特におすすめです。
キカラスウリとカラスウリ
キカラスウリとカラスウリは同じウリ科カラスウリ属。
秋にカラスウリは赤い実をつけ、キカラスウリは名前どおりに黄色い実をつけます。
一般的には、キカラスウリとカラスウリは、葉で見分けます。
カラスウリの葉は表面に毛が多く,さわるとふわふわでざらざらした感じがしますが、キカラスウリの葉は表面に毛が少なく、てかてかしていて、すこしざらざらします。
またカラスウリの花は日没後に咲き、朝にはしぼんでしまいますが、キカラスウリの花は昼頃まで咲いているので、明るいときに花が咲いていれば、キカラスウリだとわかります。
和名の「カラスウリ」の由来は、その実を「カラスくらいしか食べない」という意味から名づけられたといわれています。また、熟した果実には苦みがあり食用に向かないことから、「枯らす瓜」が転じて「カラスウリ」になったという説もあります。
カラスウリの実は食べられませんが、キカラスウリの実は食用としても利用されています。熟していない果実は、塩漬け、粉漬け、汁の実の材料として、初夏から夏の若い芽は湯がいてあえ物や炒め物に、また生のまま天ぷらや煮物に利用できます。また根は生薬として、解熱、止渇、消腫などの作用があるとされています。
そのように有用性の高いキカラスウリを守って、次世代に伝えていきたいものです。
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赤ちゃんが初めて触れるものだから、黄カラスウリのやさしい肌ざわりで赤ちゃんを守りたい。