「前田源商店」のオーガニックコットン

「前田源商店」のオーガニックコットン

このたび「オーガニック生活便」では、富士吉田市にある「前田源商店」のオーガニックコットン製品のお取り扱いを始めました。

最初は、ガーゼハンカチから、続いてインナーやパジャマなど、製品の良さを丁寧にご紹介しながら徐々に紹介していきます。

「前田源商店」は、日本で初めてオーガニックコットンを手掛けたメーカーであり、また「NOC日本オーガニックコットン流通機構」の設立メンバーです。

伝統の織物技術とオーガニックコットンの出会い

山梨県にある富士吉田市。その中央通りの果てに輝く富士北麓が望まれます。

この地では、澄んだ空気と清らかな湧き水を活かして、『甲斐絹(かいき)』と呼ばれる絹織物が織られてきました。その歴史は遥か紀元前まで遡るといわれています。

『甲斐絹(かいき)』は、江戸時代には着物の裏地として人気を集め、日本全国に知られるようになりましたが、その後の着物文化の衰退とともに生産が途絶え、いったんは幻の絹となりました。

しかしその優れた技術と豊かな感性はこの地に脈打ち続け、戦後の近代設備と高度に発達した技術によって見事に復活を遂げ、現在再び、全国でも屈指の「細番手(細糸)」、「高密度」、「先染織物」の高級織物の産地として、注目を集めています。

『前田源商店』は大正10年(1921年)に富士吉田で創業、豊かな自然と伝統の技を礎とし、地域と共に歩み、そこに根ざした製品作りをしてきました。

日本のオーガニックコットンのパイオニア「前田源商店」

そんな『前田源商店』の大きな転機は、1990年代にオーガニックコットンと出会ったことでした。

ある展示会で、前田さんは、アメリカ在住の日本人からこんな話を聞きました。「農薬を使って通常の綿栽培をしてきた生産者が、オーガニック栽培に変えたらすっかり体調が良くなったそうです」。「その綿を使った衣類を来た人は、以前からあった皮膚病が治ったそうですよ」。

前田さんは、「これはすごい、これこそやるべきだ」と大きな感銘を受け、それから3年後の1992年には、アメリカのオーガニックコットンの繊維会社からその素材を輸入する契約を結びました。ストライプのハンカチ販売を始め、「アトピーの方でも安心して使えるハンカチ」というキャッチフレーズも話題になりました。

「作る人も使う人も健康になる」オーガニックコットンは、衣類、ベビー用品、美容、寝具など、様々な分野の生産者が多様な製品を生み出し、消費者の支持を得て今日にいたっています。

大地を守り、人を守るオーガニックコットン

実は世界各地の綿栽培においては、大量の農薬や殺虫剤散布が当たり前になっています。

世界で使われている農薬の7%が、殺虫剤の16%が綿花栽培に使用されているというデータがあります。 コットンを栽培し、収穫するまでには除草剤、殺虫剤、殺菌剤、落葉剤、成長促進剤、成長抑制剤など、たくさんの種類の化学薬品が使用されます。

とくに綿の収穫時には、効率よく作業ができるように、「枯葉剤」(注)を散布して、綿の木を枯らします。

そのような通常の綿花栽培に疑念を抱き、農薬や殺虫剤を使用しない伝統的な栽培法を守っている生産者もいます。出来上がった綿はオーガニックコットンと呼ばれています。

農薬を一切使わず、有機肥料を作り、害虫の天敵である益虫を活用しての害虫駆除、雑草は手で取り除き手間暇をかけた栽培方法です。土の中の微生物が元気に働いている豊かな土は、少量の水で生育します。そしてオーガニックコットンの収穫は人の手で一つ一つ摘みます。

 「枯葉剤」は、ベトナム戦争中にアメリカ軍が航空機で散布した化学物質「オレンジ剤」として知られている。「枯葉剤」は、催奇性があるために、ベトナム戦争後、ベトナム各地で障害のある子供たちが多数生まれた。また「枯葉剤」は、分解しにくい化学物質であるために、いまだにベトナムではガンや催奇性の疾患が続いている。

自然の色合いを大切にした製品作り

「前田源商店」のオーガニックコットン製品作りの特色は、自然の色を大切にしていることです。 原種のオーガニックコットンは、茶色(茶綿)です。茶綿には生まれつき紫外線を防ぐ力があり、天然のUVケア素材としても役立ちます。

 そのほかに「前田源商店」では、伝統的な「草木染めの豊かな彩り」を楽しむ製品もあります。桜やヨモギ、大待宵草など富士山麓に生育する天然の素材と、清冽な富士の湧水を用いることによって、繊細な色合いで色付けされます。  

富士吉田市の高度な織物技術が活かされたオーガニックコットン製品は、柔らかくしなやかな風合い。そのオーガニックコットンは、いつまでも長く大切に使いたい気持ちにさせてくれます。

オーガニックコットン生産者を守る取り組み

「前田源商店」は、日本にオーガニックコットンが入ってきた1993年、NPO法人「NOC日本オーガニックコットン流通機構」の設立にも関わりました。それは価値あるオーガニックコットンを守っていくために、インド、エジプト、タンザニアなど、世界各地でオーガニックコットンを栽培している生産者を継続して支援していくことが必要だと考えたからです。

NOCは、フェアトレード(綿産地の貧困救済支援bioReプロジェクト)によりインドやエジプト、タンザニアなどの生産者に対して長期買取、高価格を保証するだけではなく、移動病院などの医療サービス、支援している子供の教育施設の提供、井戸の建造、バイオガス整備など総合的な生活支援にも取り組んでいます。そのほかにも製品1枚に対して2円を栽培農家へ寄付しています。

「前田源商店」では、有機認証「NOC」の原綿100%、綿産地の貧困救済支援/フェアトレードの原綿を使用しています。