「竹小舞」の横組みの竹ヒゴは、蛇が撒いているような形に麻紐で縛っていきます。皆さん、職人の顔になっていきました
ようやく「竹小舞」が終了。本当に時間がかかりました。昔の人は凄い!
「オーガニックハウスは未来の希望、やればできる」、とにっこり。 山納さんと、安全な壁材を販売する「池田コーポレーション」の社員の浅野さん
土壁になる土作り。発酵させるためにワラと混ぜて素足になって練りました。泥だらけになった足を洗うと白くなって、得した気分でした
写真左:お昼は、佐藤文彦さんのレストランで。もちろんすべて採りたて有機野菜。嵐にも雨にもめげないアイシスのスタッフたちです
写真右:今日のメニューは、野菜の五目煮、みかんのドレッシングのサラダ、パスタ、玄米ご飯にお味噌汁。まさに「身土不二」の食卓です
土壁塗りが進むに連れて、「苦労した竹小舞が土で隠れてしまうのはもったいなーい」、と言う声も
だんだん見栄えのいい納屋になってきました。目指すは、日本の自然素材で何故か形はスペイン風、アイシス流わがままですね
全員集合。前から2番目真ん中あたり、ひときわ存在感のある、メガネの男性が土壁職人の木村光博さんです
アイシスガイアネット「土壁ワークショップ」では、まず100%天然素材にこだわること、できるかぎり身近な土地にあるものを使って作ってみようという趣旨から始まりました。 5月31日、いよいよ土壁を塗るワークショップを実地しました。
自然素材の家をもう一度
今の家は、ケミカルな素材の固まりになってしまいました。合成樹脂で作られた壁材、壁紙、床材など、石油から作られた素材が多用されています。
自然素材の木材もまたたっぷり石油から作られた化学薬剤が防虫のためにしみこんでいます。というわけで「新築に移るやシックハウス症候群になった」「体調が崩れた」という話をよく聞きますが、不思議なことではありません。こうしたケミカルな素材で出来た家は、昔の自然素材の家のように100年以上持つことはなく、早々と廃棄されてしまうこととなりますが、そのさい燃やすと危険なダイオキシンになってしまうという不安もあります。
壁も下地も自然素材にこだわる
家の壁材も今やほとんどが砂に合成樹脂を混ぜたものになってしまいました。それだけではなく、壁材を定着させるための下地ボードもこれまた合成繊維になっています。
アイシスは、壁材だけではなく、その下地ボードも自然のものを使いたいという意向を出しました。それに応えてオーガニックハウスのプロデューサー山納敏之さんが、「下地は「竹小舞」でやりましょう」ということになったわけです。
5月23日、実際に「竹小舞」作業をやってみると本当に時間がかかるものでした。竹を格子状に組むために一本一本、麻縄で縛っていくというのですから。
「竹小舞」を竹林問題の解決にも
でもそのうちに次のような工夫をすることでかなりスピードアップができることもわかりました。竹は、青いものを切り,すぐに竹ヒゴを作ると、柔らかくて早い!ということを山納さんが発見しました。「柔らかい筍を切るようにすごく早くきれいにできるんですよ!」。
紐を結ぶのも手が慣れてくるとかなり早くなってくるとのことでした。「竹小舞」を現代に蘇らせるのは無理かもと一時は諦めかけましたが、なんとかやれないことはなさそうです。
今、日本全国の農村で、放置された竹林が問題になっていますが、「竹小舞」ボードを作って販売するという方法もありそうです。
まずは歩いて土壁に適した土探し
どうにか「竹小舞」が終わり、5月31日の日曜日、やや不安定な天候を気にしながら、いよいよ土壁作りが始まりました。集まったのは、アイシスガイアネットとボランティアスタッフ、それに在来種の種を保存している「ピースシード」も合わせて31人。
「今頃、近くの土を掘り起こして土壁に使うなんてところはありませんねえ」、と苦笑いする土壁職人の木村光博さん(でも嬉しそうな顔)の指導のもと、まずは、約700坪のアイシスガーデンの中から、土壁に適した土を探すことから始めました。以前から竹やぶの下辺りに発見していたのですが、納屋を建てようとする場所からあまりに遠く、手押し車で運んでくるのに一苦労。もう少し近くにないのかと探したところ、なんとちょうど建物を建てようとしていた目の前で、土壁にちょうどいい土を発見!
「この土なら大丈夫」と言う木村さんのお墨付きが出て、そこをどんどん掘っていくと、土壁にもっとも適しているという粘土層も出てきました。
1ヶ月前から水をかけて発酵させていたワラを土と混ぜ合わせ、みんなで素足になって土踏み作業となりました。「足がすべすべになる!」との声で、それまで逡巡していた女性たちも次々と泥踏みに参加。午前中はこの作業に終始しましたが、たしかに足を洗うとしっとり白くなりました。泥のデトックス作業の凄さをからだで実感しました。土壁は、有害なものも吸着して、空気をきれいにしてくれるという話にあらためて納得しました。
泥んこ遊びを思い出しながら土壁塗り
午後、いよいよ出来上がった土壁の泥を、手で泥団子にして、「竹小舞」の上から貼り付けていく作業が始まりました。
その際、最初はビニールの手袋が用意されていたのですが、アイシスのスタッフから「ビニール手袋で握ったおにぎりから、環境ホルモンが溶け出している」という記事があったことを伝えて、これは止めることにしました。後はもちろん素手でやるのみ!素手で泥を丸めているうちに、みんな、子供の頃の泥んこ遊びを思い出したのか、笑顔になってきました。
「今の子供は泥んこ遊びができないからイライラしているのかも」、「気持ちいいですね」とわきあいあいと作業が進んでいきました。泥団子は、パンパンとよくたたいてから丸めて竹小舞の壁に貼り付けていきます。よくたたくのは、泥のなかの空気を抜くため。空気が入っていると膨らんで、割れ目の原因となるそうです。また土壁職人の指導のもとに、コテを手に本格的な土壁塗りを習得しようとがんばる人もいました。
足元の土が家の素材になるという感動
あまりに「竹小舞」がきれいに仕上がったので、それを土壁で隠れてしまうのは残念という声もありましたが、夕方になる頃には、全体が土に覆われ、だんだん家らしくなってきました。
「自然素材だけでおしゃれなスペイン風納屋を作りたい」という趣旨は、山納さんのおかげで目標達成できそうです。
なんと言っても、家は高いお金を出して買うものと思っていたのが、「自分の足元にある土が家の素材になる! それも安心!」という実感を得たことは、感動でした。不思議なことに今回もまたワークショップが終わる頃に雨が降ってきました。
土壁は、一ヶ月以上かけて、乾燥させます。その後、仕上げの自然塗装をする予定です。