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皮膚科医・筑丸志津子先生にインタビュー

天然のメディカルコスメを使う皮膚科医・筑丸志津子先生
天然成分のメディカルコスメを治療現場で使用しているという自然派の皮膚科医・筑丸志津子先生。聞くところによれば最近は夏でも肌が乾燥している人が増えているそう。たしかに冷房や紫外線量の増加など、肌を乾燥させる原因もありますが、化粧品の合成成分も肌の機能を壊していることが大きな原因とのこと。早速、筑丸先生に乾燥肌に良いコスメ選びをうかがいました。

―― 今日はオーガニックコスメ相談室でも質問の多い乾燥肌について、お話をうかがいにきました。

乾燥肌といえば、冬に肌が乾燥しても普通は6月ぐらいには乾燥によるかゆみなどがおさまってくるものです。それが最近は、夏になってもそれが治らない、一年中乾燥している人が多いですね。乾燥がすすむとトラブルに発展しがちです。たとえば花粉の時期に、乾燥肌に花粉がついて、花粉皮膚炎になる人もいます。

―― なぜ、乾燥肌が増えてきたのでしょうか?

気候や環境の変化もあって、肌がついていかないこともあるのですが、合成界面活性剤入りの化粧品を長く使ったために、肌の水分をとじこめておく力がなくなっているようですね。肌の調子が悪いといってくる方に化粧かぶれが原因という人も多いです。同じ化粧品を長く使っているので気づかないのです。

―― 水分をとじこめる力がないとは具体的にどういうことでしょうか?

細胞のひとつひとつには水分がふくまれていて、皮膚の外側の角質層、表皮層がバリアとなって、皮膚を細菌から守ったり、水分を出さないようにしています。それが皮膚を守る構造です。
ところが化粧品の合成成分がこのバリアを壊してしまうのです。すると水分が蒸発して肌の乾燥がすすむのですよ。合成成分は肌のバリアを壊して、体内に入り、血液の流れにそって全身をめぐって肝臓にダメ―ジを与える可能性もないわけではありません。

*肌は外側から角質層、表皮層(顆粒層、有棘層、基底層)、真皮、皮下組織からなります

―― 合成成分についてきちんと知っておかないと怖いですね。
少しでも乾燥を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか?

天然成分のコスメを使うのはもちろんですが、実はクレンジングと洗顔が原因でトラブルになることが多いのです。どちらも洗い流してしまうので、トラブルがわかりにくいのです。

―― たしかに洗顔は洗い流すので、乾燥とは関係ないと思っていましたが、
どんな点に気をつけるのですか?

洗顔はナチュラルな石けんを使うのが基本で、それを使えばふつう、トラブルはあまりおこらないはずです。
でも石けんもきちんと選ばないといけませんね。天然成分入りをうたった石けんの中には、たとえばものすごく不自然な色をしていたりするものがあります。そういう不自然さは、合成成分をうたがったほうがいいですよ。

―― 昔「やせる石けん」ってありましたが、ほんとに疑っちゃいます(笑

石けんやクレンジング剤に合成界面活性剤や発泡剤などの合成成分が入っているものは、やめましょう。肌のバリアをこわしてしまいます。

―― 合成成分のメイクを使うと、メイクを落とすために、合成成分入りの強い洗顔剤を使うという悪循環も生まれますね。

そうです。それから皮膚からは油分がでます。それが皮脂膜として、肌を保護する役目をはたすのですから、肌の油分を取りすぎる洗顔料はやめましょう。肌荒れの原因になります。

*皮脂は真皮層の皮脂腺から分泌されます。

―― でも肌がテカるがいやなので、ついつい油分をとりたくなるのですが……

肌がテカるのは皮脂分がでてくるからですが、それは水分の蒸発を防ぐためであって、自然な現象です。
ところが最近は、皮脂を抑える化粧品が好まれて、肌を守ってくれる皮脂の分泌を抑えるので、リズムがくずれ、かえって肌の新陳代謝が悪くなります。

―― だから、洗いすぎてはいけない。テカリ対策は、まめに化粧直しをするのが一番だということです。

それとメイクを落とした後や洗い流した後に、肌に良い成分が残る石けんやクレンジングをおすすめします。米ヌカやハチミツなどの保湿成分入りを選ぶとよいでしょう。
それから、洗うときにひとつ注意。本来、弱酸性の肌にアルカリ性である石けん分を長くつけておくのは良くないので、2、3度さっと顔をなでて洗う程度の短時間で洗い流しましょう。

―― 石けん洗顔だけで大丈夫ですか?
朝は水でバシャバシャやるだけの人もいますが、それでもかまいませんか?

メイクを落とすクレンジングだけだと皮脂の汚れが残ることがあるので、その後に石けんを使ったほうが万全です。
寝ている間の皮脂分泌があるので、朝も石けんを使ったほうがいいと思います。でも誰も同じということではないので、自分の肌がどんな状態かをしっかりと把握することが大事ですよ。

―― 洗顔後の化粧水についてうかがいます。化粧水に入っている天然成分もいろいろありますが、保湿のためにどんな成分がおすすめですか?

甘草、植物プラセンタ、ヨクイニン(はと麦)の3つがいいですね。この成分が入ったコスメがおすすめです。なかでも甘草と、ヨクイニンの保湿力はすごいですよ。また米ヌカ、ハチミツ、ロ―ズも保湿に関してはすぐれていますね。
たとえばクレイパックは肌の引き締め効果がありますが、少し乾燥しがちです。ハチミツ、米ヌカ、ロ―ズ水などをまぜて、保湿成分が吸収できるようするなど、ひと工夫してください。

―― 夏はついクレイパックなどで汚れを落としてすっきりしたいので、それはいい対策です!!

ロ―ションをつけた後は、クリ―ムやオイルをつけて膜を作り、水分を閉じ込めましょう。保湿効果がぐんとアップしますよ。おすすめのオイルはホホバオイルやグレ―プシ―ドオイル、ココナッツオイルが肌になじむのでおすすめです。それにシア脂も抗酸化力があっていいですよ。

―― クリ―ムや乳液にこういったおすすめのオイルが含まれているかどうかもひとつの基準ですね。編集部としては、夏のクリ―ムがべとつくのがいなや人にはジェルタイプの美容液をおすすめしますよ~。

筑丸先生、今日はどうもありがとうございました。

筑丸志津子先生

医学博士。1986年東海大学医学部卒業後、病院、クリニックなどの勤務を経て、現在、ケセラ・スキンケアクリニック院長。臨床医としての活動のほかに、分子腫瘍免疫学、細胞老化制御などの研究を行っている。