石油が化粧品の原料になったのは約50年前
化粧品の原料が石油から作られるようになったのは、約半世紀前のこと。それまで世界中のどこでも植物や粘土や石など天然のものが化粧品の原料として使われていました。
石油から作られた科学成分を使った化粧品は、一時はすばらしい「科学の勝利」と思われました。とくに合成の界面活性剤は、水分と油の乳化を可能にしてなめらかなクリームを作り出し、石油から作られたタール系色素は、それまでなかったようなカラーの領域を広げました。
そんなふうに石油がまたたくまに化粧品の原料として定着した理由は、安価であること、腐敗しないこと、天候に左右される植物原料と比べて安定供給ができることがあげられます。つまり大量生産の製品の原料として最適だったのです。
しかし石油原料の化粧品の広がりとともにそれまでなかったような肌トラブルが続発するようになりました。代表的な例をしては「リール黒皮病」と言われるもので、顔全体が黒ずんでしまう症状が社会問題にもなりました。
さらに最近では、パラベンなどの合成の防腐剤が環境ホルモンになりうると報告されています。
素肌のトラブルとなる石油原料の化学成分
石油を原料として作られた素肌のトラブルとなる科学成分をあげると次のようなものがあります。
- ・合成界面活性剤
- ・防腐剤
- ・タール系色素
- ・鉱物油
- ・合成香料
などです。
まず合成界面活性剤。これは油と水分の境界をなくすので、洗浄成分やクリームの乳化剤として使われています。
また合成界面活性剤は多くの市販のシャンプーの原料にもなっています。合成シャンプーが初めて登場したのは、1955年のこと、このときからシャンプーはせっけんから高級アルコールと言われる合成界面活性剤を使ったものが主流になったのです。
しかし合成界面活性剤はあまりに洗浄力が強く、使い続けているとゆっくりと肌の細胞を壊していきます。そのため皮膚が健全な保湿作用などを保てなくなり、乾燥したり、黒ずみの原因になっていきます。
髪もまた細くなり、キューティクルが剥がれ落ちてしまいます。さらに怖いのは、薄くなった肌からその成分が体内に流れ込み、ガンの原因にもあるという報告も出ていることです。
パラベンやフェノキシエタノールなどの合成の防腐剤には、環境ホルモンになりうるという説が出ています。
タール系色素は、石油から作られた合成色素であり、メイク用品によく使われていますが、これらは色素沈着の原因になることが問題となっています。
鉱物油とは石油を精製したオイルのこと。これは洗顔フォームやクリームや乳液、そしてクレンジングなどのベースになっています。とくに鉱物油のクレンジングは、マッサージをして使うため、皮膚の深いところまで浸透することとなり、肌に深刻なダメージを与えます。ラベルには鉱物油と記してあることはほとんどなく、「流動パラフィン」とかそのほかの油性基材の名前で出ています。
そのほか合成の香料も不安です。これらは鼻腔から吸収されたとき、神経系統にダメージを与えるおそれがあり、ホルモン分泌や精神を不安定にする可能性があります。 |