安全な化粧品を選ぶ-5
健康な肌の機能を壊してしまう合成界面活性剤
洗顔フォームで顔を洗っていて、肌がつっぱたり、乾燥してカサカサすることはありませんか。これは、肌の汚れを落とす成分として使われている合成界面活性剤が原因のひとつに考えられます。
合成界面活性剤とは「水分」と「油分」という本体、混ざらないはずのものを混ぜ合わせるために使われている成分です。その性質を利用して、洗顔フォームの洗浄成分やクリームの乳化剤として、多くの化粧品に含まれています。
しかし、合成界面活性剤は、毛穴の汚れだけでなく有害物質をブロックする皮膚表面のバリアゾーンまで破壊してしまい、毒性のあるものを体内に取り入れてしまう危険性があります。
美しい土台をつくる洗顔が、肌にダメージを与え、からだにも悪影響を与えてしまうようでは困ります。また、心配なのは人体への影響だけではありません。排水された合成界面活性剤は分解しにくく、水中生物に害を及ぼし、河川の汚染の原因にもなっています。
ブランド名や「自然派、肌にやさしい」などの広告コピーに惑わされずに、しっかりとラベルを見て合成界面活性剤の入っていない基礎化粧品を選びましょう。 |
素肌が楽に呼吸できるメイク用品を選びたい
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合成界面活性剤のラベルの表記
ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなど、化粧品のラベルに表記される合成界面活性剤は、現在使われているもので数百種類もあります。
アレルギーを引き起こすもの、毒性が強いもの、発ガン性の報告があるものなど、その毒性はさまざま。比較的毒性の弱いものもありますが、いずれにしても皮膚のバリアを壊し、体内で蓄積されてしまうので避けたほうがよいでしょう。
安心できる天然の洗浄成分は短くてわかりやすい表記ですから、覚えておくとよいでしょう。美しい素肌を手に入れるためにも自然の力を借りましょう。
石けんを使った洗顔フォームの表記
石けん素地、カリ石けん素地、オレイン酸K(またはNa)、パルミチン酸K(またはNa)、ヤシ油脂肪酸K(またはNa)、レシチン |
では、「必要なうるおいうや油分をのこしてやさしく洗い上げてくれる」、肌にとって理想の洗浄成分とはいったいどのようなものなのでしょうか。第一にあげられるのは、素肌への安全性とおだやかな洗浄力で選ばれてきた、石けんではないでしょうか。
石けんの起源は古く、紀元前3,000年ごろ発見されたといいます。一説にはローマ時代の初期にサポーの丘で、いけにえの羊を焼いて神に供える風習があり、したたり落ちた脂と木灰(アルカリ分)が混じって自然に石けんができたものがはじまりとも。この地名であるサポーが英語の「ソープ」の語源となったのです。
驚くことに、石けんの製造方法は発見された当時から現在まで基本的に同じ、動物脂や植物脂にアルカリを加えたものです。人類は長い間、石けん作りのアルカリとして木灰、または海藻灰を使ってきました。
このように自然の原理そのままに作られ、昔から人々に愛されてきた石けんは、汚れを落としながらも皮膚を溶かしたりすることがない安心なものです。長い歴史のなかでも、人間の皮膚のバリアゾーンは、石けんによる洗浄に十分たえられるということが実証されています。
色白で、きめこまやかな肌の日本の女性がずっと続けてきた美容法は、海外でも注目されているようです。ぬか味噌を作る女性の手が白くすべすべしていることは、よく知られていますが、これは米ぬかに含まれる数々のビタミン、ミネラル、パントテン酸、ぬか油など、素肌をきれいにする栄養素がたっぷりつまっているおかげ。
ぬかは、野菜をおいしく漬けてくれるだけではなく、肌にも栄養分を与えてくれていたのです。そう考えると、毎日ぬか味噌を手でかきまぜることで、知らずにスキンケアをしていた、昔の人の暮らしはとても理にかなっていることに驚かされます。
また、ぬかは芽を出す活性の強い酵素が肌の汚れを分解するので、洗浄成分の役割を果たしてくれます。合成の洗浄成分とは違い、ほどよく脂分を残して洗いあげてくれるところも、天然の洗浄成分ならではのうれしいところ。
ぬかとともに、昔から親しまれてきた天然の洗浄成分にあずきがあります。あずきに含まれるサポニンという成分が皮膚や毛穴の汚れを吸着して分解するので、ニキビに悩む人にもおすすめしたい和のコスメです。
クレイは、水に濡らすとヌルヌル感が出てきて、あたかも「自然の石けん」と呼びたくなるような珍しい性質があります。合成界面活性剤を使った洗顔料で毎日洗いつづけてバリアゾーンが傷つき、肌が乾燥しているような場合に、おすすめなのが天然の粘土であるクレイです。粘土の持つ吸着力で無理なく汚れを落とし、しっとり落ち着いた洗い上がりになります。
また、クレイはしばらく顔にのせておけばパックにもなるので、疲れは肌に最適。週末など時間のあるときに使って、自然の力で癒してあげましょう。