2012年2月6日up
2011年5月
アイシス編集部は、中国のオーガニック事情を取材しました。
上海で「ビオファ・オーガニック見本市」を取材
アイシス編集部は、お隣りの中国へオーガニック事情について取材してきました。5月26日、27日、28日の三日間は、ドイツ発祥のオーガニック見本市「ビオファ」が上海で開催。
広々とした会場には、中国各地の有機農場のブース並び、新鮮な野菜が展示され、訪れた人たちが試食していました。
「中国政府自らが各地の農場に声をかけて、有機栽培に切り替えるための支援金を出しているんですよ」とのことでした。有機農場から仕入れた食材を使う上海のオーガニックレストランのブースもあり、「けっこうお客さんが多いんですよ。中国でも安全な食材に関心を持つ人が着実に増えていますね」。
そのほかオーガニックコットン、ドイツやオーストラリアなど海外のオーガニックメーカーも出展していました。日本ではおなじみの自然化粧品メーカー「ロゴナ」のブースも見つけました。今回の上海の「ビオファ」は、全体としてみると、農産物や食品が中心。化粧品や衣料品の分野はまだこれからという感じでした。
「ビオファ」の会場を取材するうちに、とくに心動かされたのは、四川省の環境NGOと出会ったこと。四川省は2008年に大地震の被害を受けましたが、その後、ただ復興するのではなく、オーガニックタウンを作ろうという環境NGOが誕生。さらに四川省だけではなく、中国全土にオーガニックタウンを作ろうと活動を広げているとのことでした。
同じ環境NGOとして、アイシス編集部を紹介しようと「オーガニック生活便」を見てもらったところ、「私たちも中国国内でこんな雑誌を出してみたい」と四川省のNGOスタッフたちとすっかり意気投合しました。今、凄い勢いで経済成長を続けている中国。経済成長による環境への負担を少なくするためにも、オーガニックライフへの関心が高くなれば嬉しいことですね。
医食同源、さすが伝統的な漢方の国!
中国を取材するうちに気づいたことは、漢方薬の種類がとても多いこと。中国は日本の25倍もの面積を持ち、黒龍江省など寒さが厳しい地方や海南省などの亜熱帯地方まで、変化に富んだ気候の地域に分かれており、各地方でそれぞれに違った種類の漢方薬が採れるのです。
漢方薬専門店だけではなく、市場やスーパー、露店などでも、野菜のほかに漢方薬も一緒に売られているのをよく見かけました。免疫力を高める冬虫夏草(トウチュウカソウ)、目を美しくしたり健康ダイエットに効く決明子(ケツメイシ)、ガンやアレルギーにいい霊芝(レイシ)、中国漢方の中の秘薬として尊ばれる田七人参(デンシチニンジン)などなど、畑から掘り出してきたそのままの漢方薬を目の辺りにしてわくわくさせられました。もちろん日本で出回っていないのではと思われる漢方薬も多く見かけました。
豊富な漢方薬は料理の調味料や食材として使われることも多く、とくに雲南省に行くと薬膳といってもいい料理がほとんどで、「医食同源(いしょくどうげん)」は当たり前という感じでした。
ちなみに「医食同源」とは、食材の薬効成分を活用した食事をとることで病気を予防しようとする考え方。この言葉自体は近年、日本で造語されたものですが、もともとは中国の「薬食同源」思想から来ているそうです。
最近、中国では、「西洋の新薬の副作用が問題にされるようになり、伝統的な漢方薬を見直す動きが出てきていますよ」という話も聞きました。中国の漢方薬は、5千年以上もの歴史があります。何千年にもわたって使われてきたというのは、人々が生活のなかで実験をしてきたわけで、それだけ確かな効果があるということ。
たしかに上海や武漢などの大都市は空気や水の汚染など、環境問題が深刻化していますが、いっぽうでは伝統的なオーガニック健康法がまだまだ根強く人々の間に残っていることを実感した取材になりました。