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ハチミツの歴史は人類の歴史

人は一体いつ頃からハチミツを食べていたと思いますか? 100年前? 500年前? 答えはなんと、約八千年前。スペインのアラニヤ洞窟で発見された、約八千年前のものといわれる岩壁画には、女性がミツバチの巣から蜜をとる様子が描かれています。人類の黎明期にはすでにハチミツを採取していたのです。
ヨーロッパの書物にはハチミツに関する記述が多く、ギリシャ神話には、巣入りのハチミツが女神デメテルやゼウス神をもてなす席でふるまわれたと書かれています。
古代ローマでは、ハチミツに水がしたたり落ちるうちにアルコールができ上がったことを神の業と信じ、この酒を儀式で使いました。ハチミツには酵母が含まれるため、水を加えると自然に発酵するのです。
人類最古の酒といわれるこのハチミツ酒はヨーロッパで広く愛されていたようです「ハネムーン」という言葉は古代ゲルマン民族の「結婚式を終えた後の二人は1ヵ月間ハチミツ酒を飲みながら過ごす」という風習が語源と言われています。

日本や中国でも古い歴史を持つハチミツ

ハチミツが食されていたのはヨーロッパだけではありません。中国最古の薬学書『神農本草経』にはハチミツが「心腹の邪気による病を治し」「五臓を安らかにする」と書かれ、ハチミツは古代中国では薬として珍重されていたことがわかります。
日本でも古くからハチミツは貴重な嗜好品として、もしくは薬として用いられていました。平安時代の薬学書『医心方』には、ハチミツによる病気の処方や栄養、美容について書かれており、また「源氏物語」には、ハチミツで香を練る場面もあります。
ハチミツは世界各地の長い歴史の中でさまざまな用いられ方をされてきました。どの地でもどの時代でも、共通するのは、ハチミツを貴重なものとして扱っていたこと。古代から人はハチミツの価値が舌にとろける甘さだけでないことを知っていました。それでは、たくさんの魅力と謎をこめた美しい琥珀色の奥深い世界を探ってみましょう。



ハチミツには、整腸作用、活性酸素の除去、疲労回復、コレステロールの抑制など、驚くほどたくさんの効用があります。

すぐにエネルギーになる糖分


ハチミツの主成分の果糖とブドウ糖は、糖分が酵素で分解されたもので、転化糖といいます。ミツバチが糖を分解してくれているのでこれ以上分解する必要がなく、 食べてすぐに吸収され、エネルギーになります。スポーツ後や疲労時に最適です。

強力な殺菌力


ハチミツの殺菌力は、チフス菌は48時間、赤痢菌は10時間で死滅するほど強力。いかなる菌もハチミツの中で生育することはできません。この殺菌力は火傷のケアにも利用できます。患部にハチミツを塗ると、雑菌が入って化膿するのを防ぎ、さらに吸湿性が強いので、患部の水分を吸い込んで水膨れを防ぐので一石二鳥です。

整腸作用


ハチミツにはオリゴ糖が豊富に含まれ、すぐれた整腸作用があります。また、ハチミツに含まれるグルコン酸にはビフィズス菌を増やす作用があり、ヨーグルトと一緒に食べると効果的です。不思議なことに、ハチミツは便秘に効果的な一方で、下痢止めにもなります。要するに、腸の働きを正常にするのです。便秘のときは、ハチミツを常温で、お腹をこわしたときは温めて飲むのが効果的です。

血圧を安定させる


ハチミツには、コレステロールを除去する働きがあるコリンという成分が含まれています。さらに、豊富なカリウムが摂り過ぎた塩分を排出させ、血圧が上がるのを防ぎます。

アルコールの分解を促進


ハチミツの主成分の果糖は、アルコールの分解を促進し、血中アルコール濃度を下げるのに役立ちます。お酒を飲んだ後に、冷たいハチミツ水を飲むと悪酔い防止に効果的です。

天然の健康食品ローヤルゼリーとプロポリス


女王蜂も働き蜂も生まれたときは全く同じですが、その中の一匹だけがローヤルゼリーを食べて育ち、毎日2000個も卵を産む女王蜂になります。ローヤルゼリーは、若い働き蜂が花粉と蜂蜜を体内で加工して作ったスーパーエキス。栄養豊富な健康食品として珍重されてきました。自律神経の調節、ホルモンの調整、血圧安定、 体質改善、肝臓の機能改善、美肌などさまざまな効用があります。
プロポリスとは、樹脂とミツバチの唾液中の酵素が混ざったもので、セイヨウミツバチはこのプロポリスを巣の回りに塗って、ウイルスや細菌から守り、巣の中はいつも無菌状態に保たれます。(ニホンミツバチは細菌に強い種のためか、プロポリスをつくりません)プロポリスは古代ギリシャ・ローマ時代から、薬として用いられ、最近は抗ガン作用が注目されています。そのほか、細胞膜を強化し免疫力を高める効果や、血行促進、抗ウイルス、抗菌、抗アレルギー作用、活性酸素の除去などの効果があります。
ローヤルゼリーもプロポリスも自然食品なので、薬とちがい、食べても副作用がありません。


みずみずしい肌になるために、ハチミツのたくさんのパワーを上手に利用してみましょう。
ハチミツパック
ハチミツをうすく顔やくちびるにのばします。ハチミツは保湿効果抜群なので、肌がプルプルに。クレオパトラも顔をハチミツパックしていたそうです。 うすくのばして肌になじませれば、それほどべたつきは気にならず、洗い流しも不要です。夜、寝る前にパックすると翌朝しっとり肌に。多めにパックしてマッサージしながら洗い流すのも効果的です。
バスタイムに
ハチミツの保湿効果は抜群。毎日のバスタイムに使ってみましょう。お風呂場に常備してみてください。ふだん使っているせっけんやシャンプーにハチミツをほんの少しまぜると洗い上がりの肌や髪がしっとりします。



ハチミツの酵素やビタミンは熱で壊れてしまうので、冷たいままでいただくのがベター
ハチミツレモネード
レモン1/2とハチミツ大さじ1を冷水で割ります。レモンに含まれるクエン酸には疲労を回復する効果があり、また、ハチミツの糖分は吸収されるスピードが速いので、すぐにエネルギーに変わります。朝の目覚めの一杯に、運動した後の水分補給に最適です。
しょうが蜜
スライスしたショウガを広口瓶に入れ、ショウガがかくれる量のハチミツを入れます。一晩おくとショウガのエキスが出てくるので、この蜜を適宜冷水で割ります。寒い日にあたたまりたいときはお湯で割ってください。漬け込んだショウガは料理に使うと隠し味に。
バーモントドリンク
ハチミツ大さじ1、リンゴ酢大さじ3を冷水で割ります。アメリカ・バーモント州は全米でもっとも長寿者が多い地方です。アメリカのジャービス博士は、この地方で飲まれているリンゴ酢とハチミツを割った飲み物が長寿の秘けつだと「バーモントの民間療法」という本を著しました。リンゴ酢とハチミツにはカリウムが豊富に含まれています。
グリーンジュース
ニンジン半分、セロリ半分、リンゴ1個、そのほか好みの野菜や果物にレモン半個、ハチミツ大さじ2を加え、ミキサーにかけます。野菜ジュースが苦手な人も、ハチミツを少し加えると野菜独特の匂いがやわらぎ、飲みやすくなります。