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2015年6月8日up

ヨーロッパで最も早くバイオダイナミック農法を実践したワイナリー

ワイナリー「ニコライホフ」では、オーガニック・レストランもオープン。 ビオ・ワインや、収穫したての新鮮な野菜料理が楽しめる。

「ニコライホフ」のワイナリーへと案内するサース夫人。

ニコライホフの葡萄の葉は、暑さにも負けることなく、太陽に向かって胸を広げているかのよう。

心地良い空気が流れるワインセラー。ワインを熟成させる大樽の前で。

ワインの味にさらに透明感を与えたバイオダイナミック農法

「ニコライホフ」は、ヨーロッパでもっとも早く、バイオダイナミック農法に取り組んだワイナリーだ。

今ある「ニコライホフ」のワインセラーは、1000年以上前に建造された「ニコライ修道院」が使っていたもの。

サース夫人は、アイシス取材陣を、その由緒あるワインセラーへと案内してくれた。暗がりに古く大きなオーク樽が並ぶ様は、あたかも中世の世界に迷い込んだかのような心地にさせた。

「ニコライホフ」では、もともと有機栽培の葡萄でワインを作ってきたが、サース夫人が知人からシュタイナーの月齢カレンダーをプレゼントされたことがきっかけとなり、1971年からバイオダイナミック農法を取り入れた。

その結果、「ワインの味わいから雑味が消え、さらに純粋で透明感のあるものになった」と、サース夫人は言う。

「宇宙からの気」を高める農法によって、夏の暑さにも強い葡萄に

 暗いワインセラーを歩くうちに「これが、私が作った調合剤です」と、サース夫人は、木箱を取り出した。その箱には、小さな瓶が並んでいた。瓶の中に、バイオダイナミック農法で使われるプレパラシオンと呼ばれる調合剤が入っているとのことだった。

「調合剤の材料は、カミツレやイラクサ、そして水晶などです」。
「ニコライホフ」の葡萄畑は22haと聞いていた。そんな広さなのに、膝に抱えられるほどの箱に並んだわずかな調合剤でいいのだろうか? そんな疑問が浮かんだ。

「一般の有機農業ではたくさんの有機肥料が必要だと考えられがちです。でも私はバイオダイナミック農法の調合剤を使い始めて、たくさんの有機肥料は必要がないことを確信しました」。

バイオダイナミック農法独自の調合剤は、土地を肥沃にする肥料ではなく、「宇宙の気」を活性化するためのものと考えられている。

しかし、「宇宙の気」と言われても即座には受け入れがたい。

「葡萄作りも気候変動に悩むことが多い昨今、いろいろな害が出ているとよく聞きます。でも幸い、『ニコライホフ』ではバイオダイナミック農法にしてから、葡萄の木は夏の暑さにも強くなりました」と、サースさんは言った。

本当だろうか? ぜひ「ニコライホフ」の葡萄畑を見たいと思った。

明るい光を放つ「ニコライホフ」の葡萄畑

住宅街を抜けて一面、葡萄畑が広がっている平地に着いた。車道側にピンク色の薔薇が咲いている畑があり、それが「ニコライホフ」の畑の目印だった。車道をはさんで向かい側にある葡萄畑は通常栽培とのことだった。

その違いは明らかだった。

向かい側の畑は、葡萄の葉の色があちこち茶色に焼け、日射しの下でぐったりとしているように見えた。

いっぽう「ニコライホフ」の葡萄の葉は、強い日射しにも負けず、太陽をまっすぐ見上げて胸を広げているかのようだった。ばかりか葡萄畑全体が明るく見えた。「宇宙の気」を活性化するという農法のパワーを感じないわけにはいかなかった。

そのように徹底してこだわりのあるワイン作りを手がける夫人は、原発についてはどのように考えているのか。30年以上前の原発を問う国民投票のときのことを尋ねた。

「当時、私は20代後半でした。もちろん反対に投票しました」。

そして彼女は尋ねてきた。

「日本には、海や多くの川、森の自然と、そして風力やソーラーエネルギーなどの素晴らしい技術があるのに、何故、それらをもっと使おうとしないのですか?」

本当に痛い質問だった。政治が悪いという答えもあるが、そういう結果を選んでいるのは投票者だ。

私は、オーストリアの有機農業に関わる人たちが、きわめて高い社会的意識を持っていることを改めて感じた。

旧オーストリア帝国で生まれた
シュタイナーのバイオダイナミック農法とは

バイオダイナミック農法とは、哲学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した農法だ。彼は、1860年代に旧オーストリアに生まれている。
シュタイナーは、「人々はあまりに物質的なものにのみ囚われて、精神的な発展の重要性を忘れようとしている」と考え、現代世界が向かう方向性に大きな危機感を抱いていた。その危機感を、シュタイナーは、芸術、教育、農法、哲学など、幅広い分野にわたって表わし続け、その考え方は今も世界中の人々に影響を与えている。
シュタイナーの農法は、「宇宙の気を生産物に取り込む」という考え方のもとに、太陽、月、そして星々など、宇宙の動きを見て、適切なときを選んで種まきをしたり作物を植え、収穫するというものだ。現在、バイオダイナミック農法で栽培された農産物やそれから作られた製品には、デメター協会が、「デメター」という認証を与えている。



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