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美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究 1

美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究

生活習慣が冷えをつくる
なんとなくからだの不調を感じるという声をよく耳にします。手足の冷え、歯周炎のはれがなかなかひかない、朝起きてすぐに目が開かない、肌のカサカサが気になる、最近脂肪が気になってきた、動悸がする、爪の色がよくない、めまい、貧血など、一見ばらばらの症状に思えますが、生活習慣病と関係しているものばかりです。

生活習慣病とは、歯周病、糖尿病、心臓病や脳血管、高血圧など循環器系の病気、そしてガンに焦点が当てられています。

これらの病気は、夜更かし、食べすぎ、運動不足など、不規則で不摂生な生活習慣がおもな原因と考えられます。それでじわじわとからだが弱ってしまい、いつのまにやら成人病に冒されてしまうことになります。

とくに現代人のからだの不調は冷えによるものが多いようです。冷えが起こると血管が縮み、血行が悪くなります。栄養も行き届かないうえに、排出すべき老廃物もからだの至る所に留まってしまいます。そのため、からだの各部分の細胞や内臓の機能が弱まり、からだが元気を無くしてしまいます。病院に行って検査をして、数値が異常を表してからでは、からだを元に戻すのに、時間も手間もかかってしまいます。生活習慣病を避けるためにも、冷えをからだから追い出す習慣を身につけてはいかがでしょうか。

「今の快適さと便利さだけを追求した生活には『衣食住』のすべてにわたって
『冷え』の原因がひそんでいます」と高木先生は言います。
そこで「衣食住」のどのような点が問題なのかを検討してみました。
高木嘉子先生

衣から見た「冷え」の原因
冬だというのに、ミニスカートにタイツだけ。上半身は厚着なのに下半身は薄着のスタイルが目立っています。また、夏は冷房の中、下着同然のファッションに素足にサンダル。このようなファッションでは、「冷えたい」と言っているのと同じことなのです!

「冷えやすい女性はとくに服装には気をつけてほしいですね。女性は、妊娠、出産のために下腹部が厚い脂肪でおおわれ、男性よりも脂肪がついています。冷やしてしまうと、内側に冷えをため込んでしまい、なかなか冷えがとれにくくなってしまうというわけです。これはおなかに冷たい脂肪を巻きつけているようなものなのです!」と高木さんは言います。

食から見た「冷え」の原因
冬にからだを冷やす夏野菜を食べたり、暖房の中で、冷たいフルーツやアイスクリームなどを食べるなど、季節外れのものを食べることはからだを冷やすことになります。

また、「14~15℃以下の飲み物はからだに負担がかかる」と高木さんは言います。「昔使っていた井戸水は14~15℃でした。これが、自然界にある、冷やしても害にならない最低温度なのです」。

今や、冷蔵庫で冷やすことは当たり前の時代。冷蔵庫で冷やした飲み物は約5℃です。「13℃以下になると、からだに負担をかけない37℃程度の温度にするため、必要以上に胃壁の血管が収縮し、血液循環が悪くなります。胃が温度を上げようとするため、体内の熱が奪われるのです」。このため、エネルギー不足、免疫力不足ということが起こります。また、甘いものや過食、ダイエットも冷えの原因だといいます。

住から見た「冷え」の原因
現代の世の中、空調は欠かせないものとなっています。「冷暖房が普及しだし、ますます冷えが蓄えられた」と高木さんは指摘します。「外気温と室内との温度差が大きすぎ、その間を行ったり来たりしたりしていると体温調節にかかわる自律神経の働きに異常が起こってしまいます」。

冷房のきいた部屋にいることはからだの代謝機能を低下させてしまい、無防備になる夏には「冷え」を溜め込んでしまうのです。そして、あるとき突然、溜まりに溜まった冷えの症状がおそってくるのです。

また、「冬は、必要以上に暖房で室温を上げすぎると基礎代謝量が下がります。その結果、屋内と戸外での温度差が開きすぎ、急激な温度差に対応することが困難となってしまうのです」。暖かい空気は下から上に上昇し、冷たい空気は上から下へ下降する性質がありますが、体内でも同じ現象が起こります。「冬の外気は、心臓から遠い足元に停滞し、足を冷やし、その足の冷えが全身の冷えのもとになってしまいます」。これは、夏の冷房でも同じことが言えます。


「冷え」がからだと心をむしばむもとに
「冷え」がからだにたまると血液循環がとどこおって代謝がうまく行われません。血管が収縮し、血液循環が悪くなって必要なものは取り入れられず、不必要なものを取り除くことができなくなり、全身の機能に支障をきたしてしまいます。

からだが「冷え」の影響を受けると、体内の温度を保とうとして、熱の発散を防ごうとする交感神経が働きます。皮膚も体内温度を保とうと反応するため、血液の流れがとどこおってきます。そして、「冷え」が長時間続いたりすると、その状態に適応してしまい、交感神経から副交感神経への切り替えがうまくいかなくなり、自律神経の乱れが起こってくるのです。

このようなことから、気力の低下、だるいといった症状、自律神経失調症、うつ病などということになってしまうのです。

「『冷え』は、思いやりの心や感謝の気持ちを少なくしてしまったり、人間関係に支障を起こしてしまう原因にもなりかねないのです」と高木さん。「冷え」をとることは、からだとこころ、両方を健康にすることではないでしょうか。


ほてりは「冷え」の入り口?!
「私は手足がほてっているから冷え性なんかじゃないわ」なんて思っていませんか。

ところが、「じつは、ほてりこそが冷えが入り込んでいる証拠」だと高木さんは言います。氷水などに手足をつけた直後、手足がほてったことありませんか。「これは急激に冷やされたことによって、からだの血管がなんとかしようと拡張し、血液循環が必要以上に活発になることによる現象なのです。ほてりもこれと同じで、『冷え』に対する防御反応なのです」。これには驚きです。このほてりを暑さと勘違いし、冷房の温度を下げるなどしていると、さらに「冷え」を呼ぶことになるのです。

「ほてりを放置し、からだを『冷やす』生活を続けた結果本格的な冷え性となってしまうのです。ほてりを感じているうちは、まだ『冷え』が入り口に入ったばかり。この期間にからだを温めることが肝心です」。と高木さん。なるほど、ほてりは、これ以上冷やしてはいけないというからだからのサインなのです。

美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究 2

美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究

今日からできる「冷え」対策!!
毎日の生活に取り入れられる「冷え」対策をご紹介します。セルフメンテナンスで「冷えないからだ」を作りましょう。
足からおへそまでを温める!
冷暖房の温度設定の仕方
エアコンに表示される温度設定は、エアコンのある場所の温度になるので、その位置での設定温度よりも足もとはさらに4~5℃低い温度になっています。外気との差はできるだけ5℃程度に保つようにしたいです。
五本指ソックス
最近、五本指のソックスが売られているのをよく見かけます。五本指のソックスは肌に密着して、あたたかく冷えの防止に最適です。保温、ムレの発散に適している絹製のソックスをお薦めします。冷え予防には重ね履きがよいので、初めに絹のソックスを履きその上に綿のものを自分に合うだけ重ねて履くようにしましょう。
美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究
食べ物
基本的に、寒い国でとれたものはからだを温め、暑い国でとれたもの、ナマものはからだを冷やすようにできています。

根菜類もからだを温めます。タンパク質不足は「冷え」を呼ぶことになります。和食は最高の薬膳であり「冷え」対策にも有効です。

ハーブティ、ほうじ茶をホットでいただくとよいでしょう。たとえホットでも緑茶やコーヒーを大量に飲むと冷えの原因となります。夏に飲むビールは格別ですが、冷房の中で過ごした日などは、お酒の量を減らしたり、ビールの温度を上げてから飲むようにしましょう。ドイツのある地方では40歳以上の人は温めて飲むという習慣があるそうです。

旅のお供にねりショウガ!
ショウガにはからだを温める効果があります。ショウガを紅茶や白湯に入れて飲むと効果的です。チューブ式のねりショウガがあれば、どんなときでもお手軽に「冷え対策」ができます。
美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究
からだを温める食べ物からだを冷やす食べ物
羊肉、鶏肉豚肉
魚介類エビ、サンマ、サバ、ブリカニ、タコ
野菜類ニンニク、ショウガ、ネギ、
タマネギ、ニラ、シソ、カボチャ
トマト、セロリ、ナス、キュウリ、
タケノコ、冬瓜、モヤシ、緑豆、豆腐
香辛料山椒、トウガラシ、コショウ、シナモン
果物 ナシ、メロン、バナナ、カキ、スイカ
海藻 コンブ、ワカメ、ヒジキ
調味料みそ、しょうゆ、黒砂糖、麦芽糖精白糖
穀物玄米精白米、小麦
冷えに効くハーブ
カモミール、バジル、タイム、ショウガ、エルダーフラワー、イチョウ葉、サフラワー

半身浴
37~38℃(冬場は39℃)の温度に設定し、みぞおちから下だけつかるようにします。20~30分程度ゆったりつかります。寒いような場合は肩に乾いたタオルをかけてもよいです。お好みの精油や入浴剤を利用すると楽しいバスタイムを演出できます。

冷えが解消すると痩せる?!
毎日、半身浴を続けていると、からだの血行が良くなり、内臓が元気になってきます。内臓同士の隙間や血管内にたまっていた脂肪やコレステロール、悪い血行のために溜まっていた老廃物が血流に流され、排泄器官から排出されていきます。

また、最初のうちは、減らそうとしてはいなくても、体重が減っていきます。それは、からだ中に血がめぐり栄養が行き渡るので、必要以上の食欲も減りますし、余分に着いていた脂肪、コレステロールや老廃物が出て行くからです。体重が減っても、からだが快調なことに気づくでしょう。それまでは、血行が悪いためたくさん食べてやっと栄養を届けるという効率の悪いからだだったのです。冷えが解消されてくると、骨の密度が高まり、体重が増えてくることもあるそうです。

半身浴で冷えとりが定着し始めたころが、一番注意しなければならない時期でもあります。たいがい、好転反応である「瞑眩」が起こります。皮膚のあれがひどくなってきたり、鼻血や鼻水が出るようになったり、咳き込むようになったり、肩こり、筋肉痛、下痢など、もとからあった症状がひどくなったり、新たに症状が現れたりすることがあります。からだの毒素の大掃除と考えて、「瞑眩」に驚かず、冷えとりを生活習慣にしてしまいましょう。自然治癒力も強くなってきて、からだ本来の健康を取り戻せることでしょう。


このパーツを温めるとこんな効果が!
肩こりや頭痛が辛いときには、不快な箇所を温めるだけで症状が緩和します。いつも快適な体調でいるためにも、部分や症状別に上手な温め方を知っておくと便利です。温めるときは、直接手を置くほかドラッグストアなどで手に入るジェルパックをお湯で温めてから使うのもおすすめです。一人でやるのが難しい箇所は、パートナーに温めてもらうとよりリラックスできます。
目を温める
美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究
目が疲れてショボショボするときは、手のひら全体で両目を覆うようにしてやさしく温めて。アイマスク型などのジェルパックを温めて使うとよく汗が出るのでおすすめ。目の周辺やまぶたから汗をかくと、眼球の疲れがいやされる。温めた後は目がシャキッとして視界がクリアに。
肩・首を温める
美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究
肩や首のこり、目の疲れは、肩の冷えが原因かも。首の付け根のコリッとした突起(首のしっぽ)の周辺がこわばっていませんか?一緒にこの骨も温めると気持ちよさと効果が倍増。首のしっぽは自律神経の中枢。ここが温まり感性を取り戻すと、自律神経が調律され、からだの温度調節機能など皮膚感覚も回復する。
脇を温める
美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究
目の下の「クマ」は、薄い皮膚を通して見える汚れた血液の色。クマができているときは、脇の下にある「小円筋」がこわばって血行不良になっている。仰向けになって腕を上げたポーズで脇の緊張をゆるめれば、目の疲れとともにクマが解消。乳腺のトラブル防止、バストを豊かにする効果も。
おへその下を温める
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おへその下8~10cmのところには「丹田」というツボが。下半身が冷える人、むくみやすい人は、ここを温めて腎臓の働きを活性化して。冷えやむくみの原因となる体内にとどこおった余分な水分の排出を促す効果が。腎臓は、全細胞への水分補給の管理のほか、ホルモンの働きにも大きな役割を果たす働き者の臓器。
腰を温める
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お尻の真ん中にある「仙骨」という骨。ここを温めることにより、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の分泌が活性化し、からだの中からきれいになろうとする動きが活発に。生理痛をやわらげたり、全身の皮膚の炎症を抑える働きも持つ女性の強い味方。
足を温める
美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究
バケツにくるぶしまでのお湯をいれ、5分ほど足をつける「足湯」。足のむくみや頭痛、風邪のひき始めによく効くほか、腎臓の血流も活発に。寝つけない夜に足首をじっくり温めると熟睡できる。両足の赤みが均等でないときは、赤みが少ない方の足だけ2~3分追加すると、歪みをとり全身のバランスを整える効果が。

からだモード体操「足上げ」
仕事や勉強からくる疲労や緊張にしばられている頭優位の状態が「あたまモード」。それとは逆に「からだモード」は全身がリラックスしたからだ優位の状態のこと。「からだモード体操」は、その名の通りからだを「あたまモード」から「からだモード」に切り替えることができる体操です。

夜寝る前に行うと、眠りが深くなり翌朝の目覚めがすっきり。

足をのせる台は、イスなど高さがひざの位置くらい(40~50cm)のものを用意します。体操を行うときは、部屋の照明を落とし、寒い時期はひざかけを使うなどからだを冷やさないようにして思い切りリラックスできる雰囲気を作ってから始めましょう。
美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究
1仰向けに寝て、イスにかかとをのせて
足を伸ばす。

効能:頭に偏った血が全身に回り、頭がスッキリする。
美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究2腕を上げて後ろに伸ばす。
効能:脇の下にある小円筋の緊張がゆるみ、目の疲れや肩こりがやわらぐ。
美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究
3頭のてっぺんで手を組み、ひじを
楽な角度に曲げる。

効能:腕全体の緊張がぬける。寝不足で辛いときにも。
4ひじを曲げて腕を頭の上で交差する。
効能:肩甲骨の緊張が解けて、肩こりがやわらぐ。

手軽にできて効果てき面。いろいろ「部分浴」
ひじ湯
興奮状態にある
脳の緊張をほぐす
美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究
方法:洗面器や洗面台に45~47℃のお湯を張り、イスに腰掛けてひじの先端だけを3~5分。額や首筋がうっすら汗ばんだらOK。(腕湯も同じ)
なぜ? 頭に集まりすぎた血が、ひじを温めることでスーッと下がり、全身に回るため。
親指湯
興奮して眠れないときに

美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究
方法:マグカップなどに45℃くらいのお湯をいれ、親指をつける。親指が赤くなってからだがホカホカしてきたら終了。
なぜ? 親指は頭の反射区。親指の血行がよくなると、同時に頭の充血も解消されるため。
腕湯
肩こり、乾燥、肌荒れ、
神経の緊張をやわらげる
美肌と元気のもと「冷え」対策・大研究
方法:洗面器や洗面台に45~47℃のお湯を張る。イスに腰掛けてひじ下10cmくらいまでをお湯につけて2~3分。
なぜ? ひじから指先までを温めることで、滞った肩の血流がよくなるため。



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参考文献
『かわいいからだの救急箱 気持ちいいからだをつくる70のメニュー』寺門琢己著/メディアファクトリー
『かわいいこころ』寺門琢己著/メディアファクトリー
『うっとりするからだ おとなの女のキレイを磨く』寺門琢己著/サンマーク出版
『みんなのからだ いっしょにできる114の体操』寺門琢己著/メディアファクトリー
『整体生活和の暦』寺門琢己/白泉社